取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った綾乃さん(仮名・40歳)は33歳のときに結婚して、現在は旦那さまと子ども2人との4人暮らしをしています。いつまでも子どものような感覚でいる旦那さまと義母との関係に悩んでいると言います。
「付き合っているときから夫と義母の中の良さには気づいていました。でも、私も両親のことが大好きで、結婚するなら親を大切にしている人のほうが良かった。たとえ少しマザコン気味だとしても。息子と母親は、娘と母親以上の関係があることには薄々気づいてはいたんですが……」
家族仲は良好だが、娘の恋愛関係を異常に気にする両親
綾乃さんは愛知県出身で、両親との2歳下に妹のいる4人家族。家族仲はとても良好で、週末には必ず遊びに連れて行ってくれたと振り返ります。
「母親は怒ると怖い人で、父はずっと娘に甘いタイプでした。どうしても女3対男1の家庭なので、女性の意見が通るんですよね。それを父は別に抵抗しなかったという家庭です(笑)。父は本当は男の子が欲しかったんだろうなっていうほどアウトドアな趣味を持っていて、それに妹よりも私が付き合っていました。早朝から一緒に釣りに出かけたり、週末は家族でキャンプに出かけたりしましたね。お正月に家族4人で登山をして、ご来光を見たこともあります。そんな父の影響か、私と妹は、両親が参加しなくなった後もお互いが結婚する前は姉妹で登山もしていたこともありました」
他の家庭と違ったところとして綾乃さんはひとつのことを挙げました。それは「恋愛に対してのタブーが多かったこと」。
「一度高校に上がったばかりの頃にクラスメートの男の子から電話がかかってきて。当時はまだ携帯なんて持っていなかったから家で親に取り次いでもらったんですが、その後の両親からの質問攻めが、興味津々というよりも責められているように感じたんですよね。『あの男の子はどんな子?好きなの?』みたいな感じの質問だったと思うんですけど。それで、なんとなく家で異性の話はしないほうがいいんだろうなって悟ったというか。妹もそれを見て学んだと言っていました。そのせいだけではないと思いますが、私も妹も恋愛には後ろ向きなところが多くて、2人とも晩婚。そして結婚相手しか両親に紹介したことはありません」
【元同級生でお互いの実家も近いのに、交際期間に親たちとの交流は一切なし。次ページに続きます】