取材・文/ふじのあやこ

近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。

「家を出たい気持ちがあるんですが、母親だけに父の相手を頼むことが申し訳なくて。結婚など何か正当な理由がない限り出て行くことはないと思います」と語るのは、陽子さん(仮名・39歳)。一度結婚で家を出たもののバツイチになり、今は理由があって実家で三人暮らしをしています。

父の沸点がわからない。一度怒ったら手がつけられなかった

陽子さんは大阪府出身で、両親と4歳上に姉のいる4人家族。父親はサラリーマン、母親は専業主婦で2人はお見合いで結婚に至ったそう。父親は家族の前で、母親は3人になったときにいつも結婚、夫婦に対しての気持ちを語っていたとか。

「小さい頃から大きなケンカはなくとも、なんとなく両親が仲良くないのはわかっていました。父親は毎日早く帰ってきて、夕方に家にいることもあるくらい。そして、ほぼ毎日お酒を飲んでいました。お酒を飲んだ父親はいつも自分の武勇伝を語るのですが、その中で母親と結婚してやったみたいなことを言うんです。それを姉と私はあんまり気にしてなかったのですが、母親からしたら嫌だったと思います。母は姉と私の前では『子どもたちがいなければとっくに別れているわ!』といつも愚痴っていました(苦笑)」

父親はお酒が入ると上機嫌か不機嫌になるかの二択だったようで、不機嫌になると手がつけられないぐらい怒っていたと振り返ります。

「どこでスイッチが入るかわからないんです。どうしても娘2人だと、母親と女3人対男1人という構図になると思っているのか、父が何か言ったときに私たちが少しでも否定するとたまに大声を上げて怒るときがあって。機嫌がいいときには『お父さんだけ仲間外れにしないでよ~』と寂しそうにするのに、同じことで激昂するときもある。一度怒ったらそこからずっと寝るまで怒っています。何かを言おうとしても『黙れ!』と怒鳴られる。だから一度怒るとそこからは自分の存在を消すだけです。小さい頃は怖かったんですが、だんだん成長するにつれて、テレビがリビングしかなかったので、好きなドラマが始まるのにな……とか思っていましたね」

【姉を反面教師に父親の前ではいい娘を演じていた。次ページに続きます】

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