将来の老後資金づくりに、とても重要な役割を果たす確定拠出年金。皆さんはしっかりと活用できていますか?
企業型でも個人型iDeCoであっても、適切な運用商品を選び「利回り」と「時間」を味方に付けながら資金を育てていくことが理想です。
ただ、「何からどのように始めたら良いか、よくわからない」や「投資の勉強をしたくても時間がない」、「正しい情報を見分ける力がない」といった理由で、なかなか運用を始められないという方が、まだまだ沢山いるようです。
今回は確定拠出年金を上手に活用する際の心得として「自分に合った」運用商品の選び方をわかりやすく紹介します。読めば納得の活用法を参考に「自分年金」づくりをスタートしてみてください。
目次
確定拠出年金の運用商品にはどのようなものがある?
自分に合った投資信託の選び方
実際の投資信託(ファンド)を選択する
まとめ
確定拠出年金の運用商品にはどのようなものがある?
確定拠出年金の運用商品は大きく「元本確保型」と「元本変動型」の2つに分けられます。まずは、この二つのタイプの商品のどちらを使い、積み立てていくかを決める必要があります。
≪元本確保型≫
積立てた掛け金の元本が保証されるタイプの商品
例:定期預金・年金保険
メリット:元本割れしない デメリット:現在のように超低金利の状況ではお金が増えない。
≪元本変動型≫
元本がつねに変動するタイプの商品
例:投資信託
長期分散投資は、10年以上が一般的
資産運用はいわゆる「長期分散投資」が基本ですが、ここで言う「長期」とは一般的には「10年」です。10年以上の時間をかけると元本割れなどのリスクをほぼ回避できるという過去のデータによるものです。
したがって、運用期間の終了が60歳とすれば50歳が一つのボーダーラインとなります。50歳未満の方であれば、すべての掛け金を複数の「投資信託」による「分散投資」が可能になると言えます。
一方、「50歳以上」の方は60歳までの期間が10年を切ります。なので、半分は「元本確保型」に残すなどのリスクを低減する、あるいはすべてを「元本変動型」にする場合には、株式の配分割合を控え目にして、債券型の投資信託を多くすることをおすすめします。
自分に合った投資信託の選び方
自分に合った投資信託は、どのように選べばいいのかを解説します。
「元本変動型」投資信託ラインアップ
確定拠出年金の「元本変動型」の投資信託ラインアップは、以下の8つの資産種類に分類されるのが一般的です。
株式:国内株式または外国株式(先進国または新興国)の3分類
債券:国内債券または外国債券(先進国または新興国)の3分類
リート(不動産):国内リートまたは外国リートの2分類
配分割合を決めて組み合わせる「ポートフォリオ」
上記分類から資産種類を選び、その配分割合を決めて作る組み合わせのことを「ポートフォリオ」と呼びます。「ポートフォリオ」は、自分で自由に組み合わせを作ることができるので、自分の投資可能期間やリスク許容度に合った配分割合を決めていくことになります。
「ポートフォリオ」の参考例
参考までに、分散ポートフォリオの「基本」と「応用」の2つの例を用意しましたのでご紹介します。
※それぞれの参考例に表示されている年利回りやリスクのデータは各資産の代表的な指標の過去20年間の実績データをもとに計算された結果になります。
【基本例】基本4資産均等ポートフォリオ
配分割合:国内株式25%、外国株式25%、国内債券25%、外国債券25%
※外国株式と外国債券は全て先進国のものです。
年利回り:4.9%、リスク:9.8% → 予想年間最大値下がり率:14.7%程度
この基本4資産の分散ポートフォリオは、分散投資の「基本中の基本」と言われるポートフォリオの例です。
こちらは私たちの公的年金の資金全体を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が設定する基本配分(https://www.gpif.go.jp/operation/the-latest-results.html)と同じです。
【応用例】リートや新興国を追加したリスク分散ポートフォリオ
配分割合:国内株式10%、外国株式30%、外国債券50%、外国リート10%
※外国株式と外国債券のうち新興国のものが10%ずつ、残りは先進国です。
年利回り:6.9%、リスク:12.4% → 予想年間最大値下がり率:17.9%程度
こちらは「不動産」という第3の資産を取り入れることによって、全体の値動きを抑えつつ、株式と債券の中に「新興国」といわれるアジア、南米、アフリカ諸国等のこれから発展する若い成長力を一部取り入れて、全体の利回りを向上させるポートフォリオです。
いかがでしょうか? この2つはあくまでも参考例ですので、自分のポートフォリオは自分で組み立ててみることをおすすめします。その際には、期待する年利回りも大切ですが、必ず「予想年間最大値下がり率」を確認してその下げ幅をリスクとして受け入れられるかどうか、自分の「リスク許容度」に照らして判断してください。
実際の投資信託(ファンド)を選択する
自分自身のポートフォリオが決まったら、それぞれの配分割合にしたがって掛け金を割り振り、該当する投資信託を買っていくことになります。それぞれの資産種類ごとに「パッシブ(インデックス)型」と「アクティブ型」の2種類があり、どちらかを選びます。
パッシブ型
パッシブ型は、インデックスファンドとも呼ばれ、定められた「指標(インデックス)」に連動させることを方針として運用する投資信託。例えば、国内株式は「日経平均株価」に連動するようなインデックスファンドがあります。比較的手数料が安く、投資初心者に人気があります。
アクティブ型
アクティブ型は、「指標以上」の成果を出すために優良銘柄を厳選するファンドです。インデックスファンド以上の利回りが期待できますが、手数料が高くなる傾向にあるため、コスト倒れしていないかを見極める必要があります。
もし、自分でポートフォリオの組み合わせを作るのが面倒な場合には、上記の8分類から色々な資産配分を定めた「バランス型」という投資信託(=バランスファンド)を選ぶこともできます。それぞれの内容を確認し、自分に適したポートフォリオに近いものがあるかどうかを吟味します。そして、近いものを1本選ぶことによって、分散投資が可能となります。
まとめ
いかがでしたか? 30代や40代の方は投資可能期間がたっぷり取れますので、「応用例」を参考にしながら、もう少し株式の割合を増やしたポートフォリオでもリスクを吸収できると思われます。
資産運用はとにかく時間を味方に付けることが大切です。自分に合った運用商品を選び、早めにスタートさせましょう。
●構成・編集/内藤知夏(京都メディアライン HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/)
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)