老人ンホーム費用

親や自分自身が高齢になり、一人暮らしになると、漠然と将来に不安を感じたり、ご家族の今後のことが心配になる方もおられることでしょう。もしかしたら、老人ホームや介護施設への入居を考え始めるタイミングなのかもしれません。しかし、老人ホームに入居するためには、どのくらいの費用がかかるのか、気になるところですね。

そこで、アクティブシニアのライフサポートを行う株式会社ユメコム代表の橋本珠美が、老人ホームの費用や施設毎の特徴などを、豊富な経験や事例をもとにアドバイスを申し上げます。

目次
老人ホーム種類
老人ホームの費用
老人ホームの特徴
特養(介護老人福祉施設)とは
まとめ

老人ホームの種類

老人ホームや介護施設と呼ばれる高齢者施設には、大きく分けると
・公的介護保険が運営する施設
・民間会社が運営する施設

上記の2つに分かれます。施設により、それぞれ入居対象者や費用、特徴などが違ってきます。

老人ホームの費用

では、費用について「公的施設」と「民間施設」に分けて、費用の目安などを見ていきましょう。

公的施設

【特別養護老人ホーム(通称:特養)】

入居対象:要介護3 以上の介護認定を受けている人
費用の目安(月額):8万円~15万円ほど(食費込み)※要介護度及び所得段階によって変動

【介護老人保健施設(通称:老健)】

入居対象:要介護1以上の介護認定を受けていて、医療的観察が必要な人
費用の目安(月額):8万円~17万円ほど(食費込み)※要介護度及び所得段階によって変動

【介護療養型医療施設(通称:療養型)】※介護医療院へ移行

入居対象:要介護1以上の介護認定を受けていて、医療的ケアや観察が必要な人
費用の目安:9万円~25万円ほど(食費込み)※要介護度及び所得段階によって変動

【軽費老人ホーム】

入居対象:60 歳以上(夫婦の場合は、どちらかが60 歳以上)の人で身寄りがない、家族との同居が困難な人
費用の目安(月額)
A型:6万円~17万円ほど(食費込み)
※生活費に充てられる資産、所得、仕送りなどを合算した金額が、基本利用料の2倍に相当する額以下であること
B型:4万円前後

【ケアハウス】

入居対象:身体機能の低下等により自立した日常生活を営むことに不安がある人
費用の目安(月額):6万円~20万円ほど(食費込み)※入居一時金が必要な場合もあります。

民間施設

【住宅型有料老人ホーム】

入居対象:多くは60 歳以上の人。介護専用の場合は、介護認定を受けている人
費用の目安(月額):●自立者向け10万円前後 ●介護者向け15万円~50万円(いずれも入居金は0円~数千万円)

【介護付有料老人ホーム】

入居対象:多くは65 歳以上の人。入居時の自立・要支援・要介護の条件はホームによって異なる
費用の目安(月額):15万円~50万円ほど(いずれも入居金は0円~数千万円)

【健康型有料老人ホーム】

入居対象:多くは60 歳以上の人。介護を必要としない自立した日常生活が送れる人
費用の目安(月額):20万円前後(入居金は数百万~数千万円)

【サービス付き高齢者向け住宅】

入居対象:60 歳以上の人。または、要支援・要介護認定を受けている60 歳未満の人
費用の目安(月額):10 万円~ 30 万円ほど (家賃・共益費・サービス費として)※敷金は家賃の3 か月分程度

【グループホーム(認知症対応型共同生活介護)】

入居対象:認知症の診断を受けた要支援2以上の人※グループホームがある市区町村に住んでいる人が対象
費用の目安(月額):15 万円~ 30 万円ほど(食費込み)※入居金が必要な場合もある

【高齢者向けマンション】

入居対象:ほとんどが年齢条件などない
費用の目安(月額):10 万円~※分譲方式・利用権方式取得金額 数千万円~

老人ホームの特徴

施設によって、入居対象や費用がそれぞれ違うことがおわかりいただけたと思います。では、それぞれの施設の特徴をご紹介します。

公的施設

【特別養護老人ホーム(通称:特養)】

社会福祉法人などが運営している介護施設。常時の介護を必要とし、かつ居宅での介護が困難な高齢者に、入浴、排泄などの介助、食事などのサービスを提供。4 人部屋などの多床型と全室個室のユニット型があります。申込順や所得ではなく、介護度が高いなど必要度の高い人が優先されます。

【介護老人保健施設(通称:老健)】

医療法人が運営している施設。比較的病状が安定している人がリハビリや看護、介護、機能訓練などを受けながら、在宅復帰を目指すための施設。病院から自宅までの中間施設と言われ、入所は期間限定で最長6か月となっています。

【介護療養型医療施設(通称:療養型)】

医療法人が運営し、病院・診療所の一角にある。病状が安定しているが、介護と医療の両方を必要とする高齢者向けの長期入院型医療施設。医学的管理と看護のもとで日常生活の世話やリハビリなどを行います。2018年4月の改正により「介護医療院」へ順時転換。

【軽費老人ホーム】

社会福祉法人などが運営する老人福祉施設で、低額で日常生活に必要な便宜の供与などを行う施設。家庭環境や住宅事情などの理由により、従来の住居での生活が困難な場合に入所でき、A型、B型、ケアハウスに分かれます。

A型:食事、入浴、生活相談サービスの提供がある。入所者の所得制限が設けられている。
B型:食事は原則自炊。所得制限はないが、施設数が少ない。

【ケアハウス】

各居室にトイレ、洗面台、ミニキッチンなどが設置されています。自立支援型と要介護認定を受けた人が、介護サービスを受けられる介護型もありますよ。自立支援型は、介護が必要になったら、介護保険の在宅サービスを受けることができます。

民間施設

【住宅型有料老人ホーム】

生活支援や食事などのサービスが付いた高齢者向けの居住施設。介護が必要になった場合、入居者自身が地域の在宅サービスなどの介護サービスを選択し、利用しながら生活を継続することができます。

【介護付有料老人ホーム】

介護などのサービスが付いた高齢者向けの居住施設。施設の職員が安否確認や生活支援、介護を行います。介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていて、看護師や介護職員の配置人数が決められています。

【健康型有料老人ホーム】

食事などのサービスがついた高齢者向け居住施設。ただ、介護が必要となった場合には、契約を解除し退去しなければなりません。

【サービス付き高齢者向け住宅】

高齢者が生活しやすいバリアフリー住宅で、安否確認と生活相談サービスは必ずついています。多くは同じ建物の1階にデイサービスなどの介護サービス事務所やクリニックなどの医療サービスが併設されています。

【グループホーム(認知症対応型共同生活介護)】

認知症の高齢者5~9人を1ユニットとした小規模で家庭的な雰囲気の中で、食事の仕度、掃除、洗濯などを職員とともに行いながら生活をする居住施設。認知症の人が穏やかに暮らせる環境を提供し、症状の緩和を図ります。

【高齢者向けマンション】

食事や健康管理サービスの他、24 時間体制のコンシェルジュの駐在サービスがあるなど、高齢者生活の安心から楽しみまでを備えています。入居に際しては、不動産の所有権を購入する分譲方式と、生涯生活できる権利を持つ利用権方式がありますよ。

特養(介護老人福祉施設)とは

公的施設として紹介している、通称「特養」は、「介護老人福祉施設」のことで、社会福祉法人が運営する、公的な介護施設です。民間事業と比較すると安価なため、注目されています。

特養(介護老人福祉施設)は、常時の介護を必要とし、かつ居宅での介護が困難な高齢者に、入浴・食事・排泄介助などの生活援助系サービスを提供します。特養のひと月にかかる費用を見ていきましょう。

▷ひと月の利用金額シミュレーション

居住費   9,920円
食費    41,400円
介護サービス費 25,208円
おやつ代  3,100円
医療費   6,560円
テレビ持ち込み代 775円
サロンでのお買い物代(衣類・軽食) 2,740円

合計 89,703円

●上記で提示した費用は、様々な実例をもとに記載したものです。実際の施設費用平均ではありません。
●特養は、入所一時金などの初期費用は必要ありません。月額費用として、主に居住費・食費・介護サービス費・その他日常生活費を自己負担することになります。
●居住費は、施設や居室のタイプによって決まり、多床室よりも個室の方が高く設定されています。
●その他、生活費として、電話代や理美容代、新聞・雑誌などの項目・料金が設定されており、利用により実費を負担します。
●介護サービス費は、要介護度などによって異なり、要介護度が高くなるほど高額に設定されています。
●ただし、本人の年収が少なければ、居住費や食費は減免になります。
●実際の自己負担金額については、ケアマネジャーや施設に確認しましょう。

まとめ

老人ホームと呼ばれるものには、公的施設と民間施設があり、それぞれ費用やサービス内容が違うということをおわかりいただけたのではないでしょうか。ご自身で判断ができる時に、費用面や施設の検討などをご家族とともに話し合う機会を持ってみてはいかがでしょうか。

●構成・編集/ 内藤 知夏 (京都メディアライン・http://kyotomedialine.com

●取材協力/橋本 珠美(はしもと たまみ)

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com

 

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