関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

一本橋歩き

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今回の依頼者は、一級建築士の安田則夫さん(仮名・65歳)です。最近気になるのは、現在1歳になるお孫さんについて。二世帯住宅で同居する息子さん(30歳)の妻(28歳)……つまり則夫さんにとってのお嫁さんが、頻繁に子供を預けることと、則夫さんの妻(60歳)が偶然見かけてしまったお嫁さんの派手な下着について疑問を持ち、私達に調査を依頼されました。

【調査までの経緯は前編で】

依頼者・則夫さんは、お嫁さんの行動を把握していない。この調査は、奥様には内密で行うために事前情報がありません。則夫さんは写真を撮る習慣がなく、スマホの画像フォルダには、建築物件の写真のみ。家族のグループラインにはお孫さんの写真ばかりで、お嫁さんの写真はありません。

そこで、連続して張り込みを行うことにしました。息子さんが出勤する朝8時から家の前で待機。1日目、2日目は空振り。3日目の昼12時に二世帯住宅の玄関から、小柄でロングヘアのほっそりした女性が、赤ちゃんを抱えて出てきました。

マスクをしていましたが子供を産んだとは思えないくらい、“女性らしい”雰囲気です。若々しく、艶っぽいのです。

お嫁さんは赤ちゃんを預けると、最寄りのバス停に向かいます。バスの中ではスマホでLINEをしている様子。

10分程度で駅に到着し、ここから20分の都心ターミナル駅行きに乗ります。確かに、顔立ちは地味でも、艶っぽい。女性に免疫がなかったという息子さんが惹かれたというのも納得です。

乗り換えて新宿駅に向かうと、地味な喫茶店へ。そこには、大きな荷物を持った筋肉質の浅黒い男性が待っていました。アイスティーを注文し、親密な様子で話しています。

店内で話を聞くと、男性はお嫁さんと幼馴染とわかりました。お嫁さんは見た目はおとなしそうですが、この男性と話しているときは、大変言葉づかいが悪く、声が大きい。

話で分かったのは、2人は動画配信をしていること。内容は、多岐にわたっており、ひたすらモノを食べたり、きわどい格好をしてネタを披露するという内容のようです。

2人はかなりのお金を稼いでいるらしく、喫茶店ではノートを取り出して、ネタの出し合いをし、演技とお金の配分について真剣に話していたのです。

【2人が向かったのは、撮影スタジオとしても貸し出している古いマンション内のフリースペース。次ページに続きます】

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