取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った、正美さん(仮名・42歳)は、27歳のときに結婚して、現在は兵庫県内で二人暮らしをしています。二人暮らしといっても、正美さんは1階と2階で別々に暮らす家庭内別居をもう10年以上続けているそう。
「ずっと離婚したいと思っています。でも、もう夫や義両親に抗うのに疲れてしまって……。ただ時間が過ぎるのを待っている状態です」
姉中心の家族。最後まで母は姉を選んだ
正美さんは兵庫県出身で、両親と5歳上に姉のいる4人家族。家族仲は良く、優しい両親のことは大好きだと言いますが、小さい頃は不満も大きかったとのこと。その理由は姉の存在だそう。
「姉が良い意味では甘え上手、悪い意味では1人で何もできない人でした。両親が構うのは末っ子の私ではなくいつも姉。姉は勉強もできなくて、父親がよく仕事終わりに教えてあげていました。私にはそんなことをしてくれたことは一度もありません。姉は私よりも5つも上で私から見たら全然大人なのに、いつも両親を独り占めしていました。私のほうが成績も良くて、いい高校、大学に行ったのに褒められるのは一瞬。姉は短大を卒業してしばらくニートになっていて、その後雑貨屋でアルバイトを始めたんですが、そのときも褒められていて……。姉は私にも懐いてきていたので仲が悪いわけじゃないんですが、ヤキモチもあって好きではなかったです」
20代のときに家族関係は大きく変化したと振り返ります。
「大学生のときに父親が病気で亡くなり、姉が結婚して相手の実家がある九州に嫁いでいきました。実家は建て売りの一軒家だったんですが、その家で母親と3年ほど二人暮らしをしていた中、母親が姉と同居する話が出てきて。姉の旦那さんが了承してくれたからと、母は姉を選んで九州へ行ってしまいました。
その後実家は売りに出すことになり、私は一人暮らしを自分の意思とは関係なく強制的にすることになりました。住むところが離れただけかもしれませんが、自分は天涯孤独になったような気分でしたね」
【付き合っていたときは優しかった夫。結婚が決まると自分優先になっていった。次ページに続きます】