現在、介護と感染症対策の両立が求められています。しかし、コロナ禍においてリスクに配慮しつつ今まで通りの介護を行うには、困難が伴うでしょう。グッドタイムリビング株式会社は、全国50代以上の男女1,300名を対象に「介護に関する意識調査」を実施しました。新型コロナウイルス感染症の影響による高齢者施設に対する意識や行動の変化をご紹介していきます。

■コロナ禍で高齢者住宅に求められるのは「予防策の徹底・迅速な公表」

高齢者がコロナ禍で施設に求めているものは何なのでしょうか? 「高齢者施設にどのようなことを求めますか? 」という質問に対して、「基本的な感染症対策の徹底」「施設職員のPCR検査の実施」「ガイドラインの公表」といった意見に票が集まりました。

コロナ禍における高齢者施設の対応については、「外部環境との遮断」といった極端な対策ではなく「基本的な感染症対策の徹底」や「感染者が発生した場合の迅速な公表」など、地道な対策・対応を強く求めていることが分かる結果となりました。

■コロナ禍においても高い面会ニーズ 「何らかの方法でコミュニケーションをとりたい」86%

また、コロナ禍においても8割以上の人は「何らかの形での入居者とのコミュニケーション」を希望しています。その中でも「対面での面会(感染対策あり・時間制限等あり)」が45%と最も高くなりました。外出機会や面会の制限が続くことによる心身の負担増を懸念し、“直接の面会”を必要視する人が多くいることがうかがえました。

しかし、対照的に、高齢者施設に入居する家族との面会を希望しない人も15%ほどいました。

■施設職員に対するPCR検査 66%が「公費で検査」を希望 

高齢者施設職員の任意で行うPCR検査については、全体の98%の人が「検査は必要」と回答しました。またその費用については、6割の人が「公費での負担」を希望。その他、「施設運営事業者が負担すべき」と考える人は2割、「入居者・利用者が負担してでも受けた方がよい」と考える人が1割ほどいました。

マスクや手袋といった感染症対策備品の配布と並行して、感染者の早期発見と、感染拡大防止のための検査体制の充実を求めているという現状が見えました。

■ICT導入により「介護する側」の負担軽減を望む人が61%

今後、働き手の減少に伴い、介護現場においても職員の不足が懸念されています。その対応策として介護ロボットやICT機器の活用が期待されていますが、どのような介護ロボットが求められるのでしょうか?

6割と最も多かった意見は、介護が必要になった場合に求める介護ロボット・ICT機器として「介護する側の身体負担を軽減する補助ロボット」でした。続いて、「介護される人の身体の動きをサポートする補助ロボット」が挙げられました。両者を比較すると、介護ロボット・ICT機器の活用として、介護を「される」側よりも「する」側の負担軽減が望まれていると言えます。

■「施設で働く担い手の確保・育成」が高齢者施設に必要と考える人 約7割

今後、高齢者施設に必要なこととして、第一位は「施設で働く担い手の確保・育成」(69%)となり、第二位の「介護の品質の維持・向上」(60%)と合わせて、良質な介護施設が質・量の両面で必要とされていることが分かる結果となりました。

他には、「種類やサービス内容の分かりやすい提示」や「地域と一体となった施設づくり」、「ホスピタリティの向上」といった意見が挙げられました。

■高齢者施設とSDGsについて

2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能なよりよい世界を目指す国際目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)(=持続可能な開発目標)に資する取り組みが広がっています。そこでSDGsへの関心について質問しました。

▶「SDGsに関心がある」肯定的な意見を持っている人、6割以上

「あなたはSDGsに関心はありますか? 」と尋ねたところ、「関心があり、貢献企業を応援したい」人は27%、「関心はないが、貢献企業は良いと思う」人は29%、「関心がない」人は30%という、見事に意見が分かれた結果に。SDGsや貢献企業に対する関心は、人によってムラがあるようです。しかし、SDGsへの関心という観点に絞れば、64%の人が肯定的な回答であったと言えます。

▶高齢者施設の運営事業者は「SDGsの目標達成に資する企業である」約6割が認識

最後に、「高齢者施設の運営事業者は、SDGsに資する企業だと思うか」という問いには、全体の59%が「そう思う」と回答しました。次に多かったのが、「どちらでもない」の32%。時代の流れを反映して、高齢者施設は「SDGsの助けになっている」という意識を持っている人が多いようです。関心を持つ人が全体の6割ほどであった結果を踏まえると、関心を持つ人がSDGsに寄り添った高齢者施設への見方をしていると考えられるでしょう。

                       ***

いかがだったでしょうか? コロナ禍での高齢者施設への意見や、現状を踏まえた将来への期待が見えました。感染症対策という直近の問題に加えて、長い目で見た時の、介護の担い手の確保・育成という課題もあります。高齢者施設は、今後その両方に取り組む姿勢が求められていくでしょう。

【調査概要】
対象:全国の50代以上の男女1,300名(男:670名、女:630名)
実施期間:2020年10月30日(金)~11月2日(月)
調査方法:インターネットリサーチ
(調査協力会社:楽天インサイト株式会社)

 

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