ニューノーマル時代と呼ばれるリモートワーク等の生活様式が定着し、様々な作業・活動がオンライン化するようになりました。しかし、目を酷使する時間の増加により角膜への負担は高まっていると言われます。そこで、ライオン株式会社は、目の疲れやかすみといった目の不快症状がある人の角膜に傷がついている可能性(=角膜の傷リスク)を調査しました。コロナ禍における角膜の傷の実態と、専門家がおすすめするケアの方法をご紹介していきます。
■角膜の傷リスクチェックリストとは?
「角膜の傷リスクチェックリスト」とは、だれでも簡単に角膜の傷リスクを確認できるチェックリストです。上の図の「行動編」「症状編」それぞれに3個以上、合計8個以上に該当した場合、角膜に傷がついている可能性が高く、「危険」な状態であると判定されます。
このチェックリストをもとに、医師が角膜を診察したところ、「危険」に該当した人の73%の角膜に、実際に傷がついていたという診察結果が出ています。今回の調査では、この「角膜の傷リスクチェックリスト」を用いて、コロナ禍における角膜の傷リスクの実態を調査しました。
■目を使う時間が増えた人は、変わらなかった人に比べて角膜の傷リスクが約3倍に!
まず、男女300名に、「コロナ禍で、疲れることが増えた部位」についてたずねました。すると、最も多かったのは「目」が52%で、「肩」や「腰」よりも多い結果でした。目の疲れを感じている人が多いことがうかがえます。
続いて「目を使う時間が増えた人」、「目を使う時間が変わらなかった人」、「目を使う時間が減った人」に群を分け、各群の角膜の傷リスクを比較しました。その結果、「目を使う時間が増えた人」は、角膜の傷チェックリストで「危険」と判定された人が34%となり、角膜の傷リスクが他の群に比べて高いことがわかりました。「目を使う時間が変わらなかった人」と比べると約3倍、「目を使う時間が減った人」と比較すると約7倍、「危険」と判定される割合が高い結果でした。
■パソコン、スマートフォン、タブレット仕事が増えた人は、角膜の傷リスク「要注意」以上が約7割!
また、目を使う作業の中でも「パソコン、スマホ、タブレットいずれかの仕事が増えた」と回答した人には更なる目のリスクが分かりました。該当する仕事をする人の中で、角膜の傷リスクが「危険」と判定された人は25%、「要注意」と判定された人は40%という結果に。これまでにもパソコンやタブレット等モニターを使用する作業はドライアイになる可能性が高いことが明らかになっていました。しかし今回の結果を受けて、モニターで目を酷使する状態が続くと、単に目の乾きや疲れを感じるだけではなく、角膜そのものが傷ついてしまう危険性も高まる可能性が示唆されました。
■ストレスを感じている人や間食、飲酒量が増えた人は、角膜の傷リスクも高いことが明らかに
続いて、コロナ禍での心身の状態やストレスに起因すると思われる行動の増加についてたずねました。すると、多くの人が「ストレスを感じることが増えた」「間食が増えた」「イライラすることが増えた」「あまりやる気がなくなった」などと答えました。また、角膜の傷リスクの判定結果別に心身や行動の変化を比較すると、角膜の傷リスクが「危険」と判定された人のほうが、「今のところ大丈夫」と判定された人に比べて、ストレス度合いやストレスに起因すると思われる行動が増えている割合が高いという結果でした。目を酷使する機会が多い人のほうが、ストレスを感じたり、間食や飲酒などの行動に変化があったことがうかがえます。
■専門家の解説「目を休ませるほか、角膜の傷リスクに合わせて、点眼薬でのケアも必要」
最後に、東邦大学医療センターの大森病院眼科教授である堀 裕一先生のコメントをご紹介します。
角膜はレンズとしてモノを見る役割と、異物が入ってこないようにバリアする役割を果たす重要な部分です。日々再生することでその機能を保っていますが、調査結果にもあったように疲れを顕著に感じているということは、コロナ禍での生活環境の影響で多くの人の角膜の再生が遅くなり、傷つきやすい状態になってしまっている表れかもしれません。
角膜に傷がついてしまうと、見えづらさや痛みなどを感じるだけでなく、感染症などを引き起こすリスクも高くなってしまうため、日頃から目を休憩させる、点眼薬で目を潤す意識を持ちましょう。また「危険」と判定された人は、ただ潤すだけではなく、きちんと角膜修復を目的とした点眼薬を使用するなど、『角膜のケア』という一歩先のケアを心がける必要があるでしょう。
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いかがだったでしょうか? スマホ・パソコンなどのモニターの凝視による目の酷使が、角膜を危険にさらすという可能性が明らかになりました。専門家が薦める角膜のケアを日頃から意識して、大事な目を守っていきたいですね。
【調査概要】
・調査主体:ライオン株式会社
・期間 :2020年9月10日(木)~9月13日(日)
・方法 :インターネット調査
・対象 :20代~60代 男女300名
東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県在住
外出自粛の経験があり、新型コロナウイルス流行以降、
目を使う作業が1つ以上増加した人
・監修 :東邦大学医療センター大森病院眼科 教授 堀 裕一先生