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オーストリアの首都・ウィーンは音楽の都として知られていますが、それ以外にも建築、美術、カフェ、スイーツなど様々な魅力に溢れています。今回は、ウィーン商工会議所による「ウィーンプロダクツ」の称号を与えられた企業が手掛ける、伝統に培われた銀器や磁器、リネンなどのテーブルウェアと、市内にある素晴らしいワイナリーを、5回にわたって紹介していきます。

 

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旧市街の中心にあるゴシック様式のシュテファン寺院。


気軽に楽しむ新酒と家庭料理

ウィーンは、中心部から路面電車やバスで20~30分ほど行くと美しい葡萄畑が広がる、ワイン造りの盛んな街です(詳しくは「ウィーン紀行 その④」をご覧ください)。手間暇をかけて造られるオーストリアワインは品質がとても高く、和食をはじめとする多様な日本の料理とも相性がいいと感じます。オーストリアワインは日本人好みの味なのですが、残念ながら日本ではなかなか手に入らないのが現状です。それは自国オーストリアで消費される量が圧倒的に多いからです。

ウィーン紀行の最終回は、観光客が気軽にウィーンワインを楽しめる「ホイリゲ」(居酒屋の意味)を紹介します。地元の人々が仲間や家族でワインを楽しむ「ホイリゲ」とは、どのようなものなのでしょうか。

ホイリゲ(Heuriger)とは今年のワインを意味し、気軽に新酒が飲める店ということです。歴史的には1784年のヨーゼフ2世が葡萄栽培者に向けて許可令を発令したことに始まります。この令により、自家製のワインと食べ物を自宅で提供することができるようになりました。基本的にはワインとともにハムやチーズ、ソーセージ、ローストポーク、そしてウィーン名物のウィンナーシュニッツェル(牛のカツレツ)などを供します。これらがウィーンの白ワインとぴったりなのです。

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「クリスト」のワインと料理。

原則的に食事は、客がカウンターで好きなものを注文し、その場で支払いをします。習慣からいうと11月11日の新酒解禁日からオープンします。店先に松の枝がぶら下がっていれば、それがオープンの目印になります。まるで日本の酒蔵に見られる杉玉のようです。

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「クリスト」の軒先に吊されている松の枝。これがオープンしていることの印。

それでは、ワイナリーに併設するふたつのホイリゲを紹介しましょう。

ウィーン・ビーサムベルク地区のイェドラースドルフにあるワイナリー&ホイリゲ「クリスト」は年間12万本のワインを醸造するワイナリーです。このあたりはホイリゲが多いのですが、観光客が少ない穴場的な場所です。

もうひとつ、「マイヤー・アム・プファールプラッツ」は、ホイリゲが集中するハイリゲンシュタットに位置しています。近くに温泉があることから、ベートーヴェンが耳の治療のために滞在していたといわれ、ホイリゲ内にもベートーヴェンの写真が飾られています。1683年の創業で、醸造するワインの95%が白ワインです。居心地のいい中庭があり、ホイリゲ独特の奥行きがあるつくりになっています。

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「マイヤー・アム・プファールプラッツ」のワインと料理。

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「マイヤー・アム・プファールプラッツ」の中庭。

ホイリゲはオーストリアワインを知るには格好の場です。どのホイリゲも気取らず、素朴な雰囲気があり、心の底からワインのある暮らしを楽しんでいるように見えます。ワインの美味しさを知り、またウィーンっ子と触れ合える場でもあるので、ウィーンを訪れるときには、ぜひ立ち寄っていただきたいと思います。

5回にわたってウィーン紀行をお届けしました。古き良き伝統と時代の新しさが融合し、今も進化し続ける街・ウィーン。奥の深いこの街の魅力に一度触れたら、きっと何度でも訪れたくなるはずです。

 

取材協力/オーストリア大使館商務部
http://www.advantageaustria.org/jp/

ワイナリー&ホイリゲ「クリスト」
http://www.weingut-christ.at/

ワイナリー「マイヤー・アム・プファールプラッツ」
http://www.pfarrplatz.at/

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