東伊豆の河津町は、早咲きの河津桜が咲くことで知られています。近年は100万人以上が河津桜を楽しみに訪れるという一大名所となっています。
河津桜は寒緋桜と大島桜の自然交配種とされ、寒緋桜の濃いピンク色と大島桜の花の大きさを受け継いでいます。染井吉野などと違い、1ヶ月ほどの開花期があり、例年2月上旬~3月上旬に河津桜まつりが開かれ、夜のライトアップや地場産品などの販売が行なわれます。会場には足湯もあり、歩き疲れたらリフレッシュできるのが温泉場らしい興です。
河津には7つの温泉地があり、河津温泉郷を形成しています。そのひとつ、峰温泉には、約100度の源泉が吹き上がる自噴泉があります。
奈良時代、この地は霊泉が湧き、菖蒲やカキツバタが咲く美しい里であったことから「花田の湯」と名付けられていました。その後伝説となった花田の里を復興しようと、町の篤志家により採掘が行なわれ大正15年(1926年)に大爆音とともに熱湯が吹き上がりました。以来、絶えることなく毎分600リットルの温泉を噴き上げています。
現在も、「峰温泉大噴湯公園」で噴き上げの時間と量を絞り、1日7回、約30mにも及ぶ迫力ある噴湯を見学することができます。圧倒的な湯量を誇る峰温泉は、美肌効果の高いアルカリ性と、保温効果のあるナトリウムが含まれる良質の湯です。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。