ウブドの王家にお嫁にきた日本の箱入り娘

そこに、もうひとり、お供えを持った美しい女性がやってきました。日本(愛知県)からウブド王家に嫁いだマンデラ・恵子さんです。ホテルのオープン前からスタッフの教育やゲストリレーションをされています。

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お仕事の内容やホテルの魅力を伺う前に、なぜバリにお嫁に来たのか気になりますよね。

聞けば、恵子さんは絵が好きで、住みたかったのはバリではなく花の都パリだったそう。しかし、勤めていた名古屋音楽大学の交流事業で、ボロブドゥール遺跡の修復支援でインドネシアを訪れた時に、たまたま一行がバリに立ち寄ったことから運命が動き出します。ウブドの王族のプリアタン歌劇団を見ている時、伝説の舞踏演出家であるマンデラさんに「この子だ!」と見初められ「息子の嫁に」と申し込まれたのだとか。

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「もちろんバリの言葉も話せませんし、文化も知りません。バリ王族のプリアタン歌劇団というと、歌舞伎の梨園に外国人がお嫁に行くようなものでしょうか。今と違って日本人でバリへお嫁に行く人も少なく、ましてや王族と結婚した人は聞いたことがありませんでした。しかも私は箱入り娘で、私の父は私を東京にすら出さなかったくらい(笑)。バリなんてとんでもない! 苦労するのは目に見えているからと両親はもちろん大反対でした」

全く興味がなかったバリだったが、マンデラさんの熱心さと才能ある踊り手の息子に、何か運命のようなものを感じて、ご両親を説得してお嫁入り。しかし、当時、王族の嫁が外を自由に歩けるわけもなく、3人いるお姑さんたちにお供え物の作り方を教わりながら、ほとんど家から出ないで過ごしていたそうです。

「家から出ないで過ごすのは、箱入り娘だったからか、あまりストレスになりませんでした(笑)。もし、東京でバリバリ仕事をされているキャリアウーマンの方だったら窮屈だったでしょう。しかし、バリに早くなじもうと頑張りすぎて倒れてしまい、結局、一時帰国して日本で休養することに。でも不思議なことに少しするとバリがたまらなく愛おしくなってくるのです。自分の居場所はもう日本ではなかったのでしょうね」

バリに戻った恵子さん、3人の息子に恵まれ、子育てや180人の団員を抱えるプリアタン歌劇団の運営、地域の交流などに力を注いでいたある日、夫の親戚である王族の三兄弟から「外資系のホテルにはない、バリらしいホテルをつくりたいので協力してくれないか」と頼まれました。王族の嫁こそ、外に出て活躍する時代になったのです。

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