イポーの郊外にあるお城やお寺を見物したあとは、水のきれいなイポーならではの絶品モヤシ料理や絶品スイーツを堪能。ただのモヤシでは終わらないイポー・モヤシの実力とは?

 

 

■イポーのモヤシはなぜうまい?

イポー郊外のお城やお寺を歩きまわっているうち、二日酔いでお疲れの胃も目が覚め、お腹がグウグウ鳴りだしました。街に戻るバスの中で、そわそわしながら、ガイドの書さんに「今日のランチは何?」と聞いてみると、「モヤシ!」とそっけない一言。

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「マレーシアまではるばる来たのに、ただのモヤシ!?」
「イポーはとにかくモヤシ!」

書さんが力説するには、ここイポーという街は、石灰岩で水がろ過されるので、きれいな水が豊富にあるのだそう。「おいしい水で育ったモヤシがおいしくないわけがない」とキッパリ。モヤシだけを食べにわざわざ日本からやってくる人もいるのだとか。

「イポーは水がきれいだから美人も多い。『007』に出た女優さんも、ここの出身!」
「へえ~、マレーシアのボンドガール! 今、いくつくらいの人なの?」
「トラ年!」

「トラ年と言われても何歳か分からないよ」と吹き出しそうになったものの、中華系の人にとっては年齢よりも干支が先に浮かぶのか、と妙に感心。何はともあれ、モヤシで美人になれるなら、望むところです。さっそく街一番の人気店に連れて行ってもらいました。

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書さんおすすめの店とは「老黄芽菜鶏沙河粉」。海外からも人が来る有名店とあって、お昼を過ぎているのに大混雑。なんとか空いたテーブルに座ると、店内のあちこちから「タウゲ・アヤム!」と声がかかります。タウゲとはモヤシ、アヤムは鶏のこと。モヤシと一緒に蒸し鶏をいただくのがイポー流。メニューはいろいろあるのですが、名物の「モヤシチキン」を頼まない人はまずいません。

注文を受けるな否や、モヤシ担当のおじさんが水の張ったバケツのなかから、モヤシをザザッと掬い、ぐらぐら煮えたつお湯のなかにバサッ。茹でる時間は一瞬です。おじさんの目が光るや、「ハッ!」と茹で上がったモヤシをタレの入った皿にドサッ。ザザッ、バサッ、ハッ、ドサッ…とまるでマシーンのように無駄のない作業に見とれているうちに次々と「茹でモヤシ」が完成します。

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食べる直前まで全く期待をしていなかったのですが……これは驚き! シャキシャキでぷりぷり、噛み締めればジュワーっとエキスが口の中に広がり、タレと混ぜずともモヤシだけで大変なご馳走なのです。「ただのモヤシ」なんて言ってしまい、モヤシに謝りたい気分になりました。

 

 

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