今回は国内を離れ、台湾の温泉をご紹介します。台湾は環太平洋火山帯に位置するため、日本と同様に温泉の宝庫として知られています。日本の九州程の大きさの台湾に温泉数は100か所以上。日本の統治時代に日本の温泉文化の影響を受けて広まり、今も各地で温泉が親しまれています。台北からのアクセスがよく、もっとも有名な温泉は北投温泉で、日本の著名な温泉旅館があるほどです。
今回訪ねた温泉は島の東部、花蓮という港町から電車で約40分南下した瑞穂温泉区です。最寄駅は瑞穂駅で、駅から車で10分ほどのところにある瑞穂温泉と、さらに山奥へ10分ほど、一軒宿の紅葉温泉(6月10日記事アップ)です。瑞穂温泉は台湾原住民のタイヤル族が発見したとされています。一番古い宿が「瑞穂温泉山荘」で、1912年には警察の招待所兼保養地、総督旅館でした。泉質は鉄分を多く含み、黄濁しているため黄金温泉と呼ばれています。その色はまるで日本の有馬温泉の金泉のようです。効能は新陳代謝を促し、婦人病に効用があるため子宝の湯ともいわれ、じんわりと体の芯から温まります。個人湯屋(個室)と露天風呂があり、露天風呂からは長閑な里山と緑深い山々を望むことができます。日帰り入浴は150元。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。