歴史や伝統を実感できるだけあって、訪れるたび新たな発見があるヨーロッパ旅行。しかし現実的に、多くの人々が足を運ぶのはガイドブックに載っている大都市や観光地が中心だ。
もちろん観光地にも魅力はあるのだが、さまざまな旅をしてきた人には、ワンランク上の旅を体験してほしくもある。そこでお勧めしたいのが、ヨーロッパの知られざる穴場をたどる旅である。
今回はワールド航空サービスの南欧担当・萩原さんと中欧担当の桂さんに、フランス、イタリア、スイスの「穴場町」をご紹介いただいた。
■1:ヴァンヌ(フランス)
まず注目したいのは、フランス北西部のブルターニュ地方。ブルターニュの語源が英語の「ブリテン」であることからも推測できるとおり、この地には紀元前ごろから古代ケルト人の部族集団が暮らし、歴史を育んできた。
そんなブルターニュ地方の主要都市であるヴァンヌは、紀元前1世紀ごろからの歴史を感じることのできる古い町だ。素晴らしいのは、13〜15世紀の、動物や人々をかたどったユニークなモチーフが入った木骨組みの家並み。また、16〜18世紀の石造りの家々がともに並んでいるため、時代が幾層にも重なったかのような感覚を味わうことができる。
「ヴァンヌを楽しむならぜひプティ・トラン(※観光用ミニ列車)を。ガンベッタ広場から40分ほどで町をぐるりと一周します。城壁の内外とも周るので、町の様子を見るにはぴったりです。」(ワールド航空サービス萩原さん)
■2:アオスタ(イタリア)
イタリアには、シチリアをはじめとする特別自治州が5つ存在する。特別自治州とは、歴史的背景や民族、言語の違いなどから、財政的な自治権を与えられている州のこと。同じイタリアであっても経路が少し異なるというわけで、そのひとつがイタリア北端の一角を占めるアオスタである。その起源はローマ時代に遡り、いまもなお町中にローマ時代の遺跡が残り、中世の城や教会なども見られる。
涼しく快適な避暑地であり、素晴らしいのが周囲の大自然。ロープウェイに乗ればわずか17分で到着する展望台からは、モンテ・ビアンコ(モンブラン)をはじめ、グラン・パラディーゾ、モンテ・チェルビーノ(マッターホルン)を望むことができる。
イタリア最高峰のグラン・パラディーゾを望めるコーニュ村を散策したり、湖に映る「逆さチェルビーノ」や、チェルビニアからゴンドラに乗って間近に眺めるモンテ・チェルビーノなどの美しさを楽しむなど魅力満載だ。
「アオスタ風コーヒー「グロッラ」はいかがでしょう。アルコールを加えて加熱し、いくつも口のついた独特の木製茶器(
■3:ザンクトガレン(スイス)
ザンクトガレンは、ドイツとの国境に近いスイス北東部の町。「知の宝庫」と称される古都である。なかでも特に有名なのが、世界遺産のザンクトガレン修道院付属図書館だ。スイスロココ様式の傑作といわれる造形は、他に類を見ない美しさ。また、旧市街に並ぶ装飾が見事な出窓の建物や、童話に出てきそうなかわいらしい家々を眺めながら歩くだけでも楽しむことができる。
またザンクトガレンからは、交通機関を利用すれば日帰りでいろいろな場所を訪問することも可能だ。ぜひとも足を運びたいのが、古き良き素朴なスイスの姿が残るアッペンツェル地方。
ロープウェイで標高2500メートルのセンティス山に登ると、天気がよければユングフラウの山々をはじめ隣国まで見渡せる。いかにもスイスらしい雄大なパノラマを、目の当たりにできるのである。
ザンクトガレン訪問とあわせて、スイスとオーストリアに挟まれた小国リヒテンシュタインを訪ねるのも魅力だ。丘の上に位置するファドゥーツ城の周辺からは、牧歌的なファドゥーツの街並みが一望できる。
また、リヒテンシュタインは美しい切手を発行する国としても有名なので、旅の記念にスタンプを押してもらったり、お土産に記念切手を購入するのもいいだろう。
「マティスのコレクションが充実したザンクトガレン美術館、
以上、これまでとは違う旅の楽しみを堪能できる、ヨーロッパの知られざる穴場町をご紹介した。夏場は気候も爽やかなので、心地よい時間を過ごせるはず。一度訪れてみてはいかがだろうか?
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