真冬には3m以上もの積雪に覆われる豪雪地帯として有名な新潟県津南地方。その地で育つ桐は、厳しい冬の寒さによってじっくりと年輪を刻んで硬く締まり、柾目の詰まった木質となる。その津南桐を群馬県の桐匠 根津の職人が、見事な米びつに仕立てた。
古来、桐は貴重品を保管するための木材として重宝されてきたが、その理由は気密性の高さと調湿作用にある。米は精米直後から鮮度の低下が始まるが、そうした桐の性質が、劣化の原因となる外気や湿気から米を守るのだ。さらに防虫効果もあり、保管には最適。
特筆すべきは、米びつの製作を一手に担う職人、根津安臣氏の技巧にもある。驚くのは、その精緻さだ。
「桐は気温や湿度の変化に応じてわずかに伸縮します。それを考慮して本体と蓋には髪の毛一本分の隙間を設けます。そうすることで桐がしっかり呼吸をして、お米を守るのです。蓋はあえて複雑な作りにせず、メンテナンスフリーで長く使えるようにシンプルなかぶせ蓋を採用しました」と安臣氏。
日本人の主食たる米。そのおいしさを保つのもまた、日本の伝統的な木材と職人技なのである。
【今日の逸品】
津南桐の米びつ
『サライ』×桐匠 根津
12,150円~(消費税8%込み)