約30分でふっくら仕上がる、南部鉄器の鉄釜
大阪市に本社を構える「池永鉄工」は、業務用氷削機や南部鉄器など、80年以上も鉄製品作りに携わってきたスペシャリスト集団。「ひとり用」をコンセプトにした自社の南部鉄器ブランド「1CHI」を展開しており、ここで紹介する個人や夫婦に向けた約2合炊きの鉄釜もそのラインナップのひとつ。製造は池永鉄工と約20年のつきあいがある、南部鉄器の本場、岩手県奥州市の鋳物工場。熟練の鋳物職人たちが伝統技術を駆使して仕上げたものである。
「南部鉄器の鉄釜は全体に熱をムラなく伝えるため、ご飯がふっくら炊き上がります。天然杉を使った蓋は蒸気を適度に逃がし、香りも豊かにします。ガス火でもIHでも調理可能で、約30分で炊けます」と、同社営業の下村 由さん。
南部鉄器の鉄釜は、砂を固めて作った砂型に、約1300℃の溶けた鉄を流し込む砂型鋳造。鉄釜の厚みは4mmで、それを均等に仕上げることで、熱の伝導性と蓄熱性が高まる。研磨では、砂の研磨材を吹き付けて削る「ショットブラスト」や、職人が一点ずつヤスリがけを行なうなど、丁寧な仕上げにも定評がある。
「鉄釜下部の鋳肌にはザラザラとした凹凸が見えますが、これは熱が逃げにくくするためのもの。こうした職人の細かな技術が、少ない量でもおいしいご飯を炊き上げるのです」(下村さん)
【今日の逸品】
1CHI 鉄釜
池永鉄工
19,800円(消費税込み)