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連日猛暑日の報道がされるほど、今年も暑い夏がやってきました。汗をたくさんかき、熱中症や脱水症状に意識が向く夏ですが、汗をかくことによる水分不足から、かくれ脱水(※)、便秘にもなりやすいと言われています。体内の水分量が少なくなると便が硬くなり、便がスムーズに移動できなくなるからです。

また、便秘に加え夏の胃腸のトラブルとして、高温多湿な日本の夏では食中毒のリスクも高まります。食中毒の原因となる細菌やウイルスは高温多湿な場所で繁殖が活発化すると言われているためです。今回は、かくれ脱水、便秘や胃腸トラブルを回避する方法を消化器内科医 美腸・美肌評論家の工藤あき先生にお伺いしました。

(※)脱水症になりかけているのに、気がつかず有効な対策がとれていない状態。

かくれ脱水の症状とは

まず初めに、かくれ脱水について触れていきます。かくれ脱水とは、冒頭で紹介した通り、脱水症になりかけているのに、自身が気づいていない状態を指します。では、かくれ脱水の症状とはどのようなものなのでしょうか。工藤先生によると、

・のどが渇く
・口の中が粘って食べものが飲み込みにくい
・唇や肌が乾燥している(つまんだ皮膚がすぐに戻らない)
・尿の回数が減る、尿の色が濃くなる
・気分がわるい、だるい、頭痛がする、めまいがする
・便秘があった人はそれが増悪する

などの症状がある場合にはかくれ脱水が疑われるそうです。

かくれ脱水、便秘にならないための水分量は?

次に、かくれ脱水や便秘にならないためには水分はどのくらいの摂取、またはどのタイミングでの摂取が望ましいでしょうか。

工藤先生によると、「必要水分量は1日で2L程度(体重で変化あり)。しかし、これは食事で得られる水分量も含まれており、2Lのペットボトル1本をどんどん飲みましょうという意味ではないので注意が必要です」

食事からはおおよそ1L程度の水分が得られるので、水やお茶として摂取する水分としては1~1.5L程度を目安にするといいとのこと。

また、飲み方については、「一気に飲んだり、食事中にがぶがぶ飲むことは消化液を薄めてしまったり内臓を冷やすことになるので、控えたほうがいいでしょう。水分は呼吸や汗などによって常に奪われており、こまめにちょこちょこ飲むのが理想です」と言われています。仕事中などでもペットボトルやマイボトルをそばに置いてこまめに水分を摂取することが推奨されています。

夏の暑い時期はお風呂後や夜間の尿意がなければ就寝前、寝起きにコップ1杯の水分補給を心がけるといいでしょう。

かくれ脱水、便秘対策の飲み物の温度は?

次に、夏はどうしても冷たい飲み物を好んで摂取してしまいますが、かくれ脱水や便秘という観点から見たら、それは正しいのでしょうか?

工藤先生は「腸は夏でも温めるべきです。腹巻の着用や温かいものを食べる(冷たいものをとりすぎない)ことが大事です。温度は常温や白湯のほうが消化機能には負担がありません。冷えると血管が収縮して消化器への血流が低下して消化機能が落ちるからです。デスクワークなどが主体で室内にいることが多い人は温かい~常温程度のものを摂取するといいでしょう。

水分摂取の方法は水やお茶を基本に。コーヒーやお酒には利尿作用があるので、摂取しても喪失分があります」と言います。

しかし、その一方で5~15度の冷えた水のほうが腸からの吸収スピードは速いというデータもあるそうです。脱水や熱中症などに陥った緊急時には冷たい水のほうがおすすめとのこと。

また、工藤先生は便秘対策の観点から見ると、「水分補給だけでなく食物繊維を摂ることも重要」と言います。最近では、ペットボトルに入ったお茶のような飲み口の青汁飲料などもコンビニエンスストアで手軽に購入できるため、夏の便秘対策として選んでみるのもおすすめされています。

善玉菌を増やして腸を整えておくのが最大の予防法! 朝におすすめの食材3選

夏に注意が必要な胃腸のトラブル、便秘や食中毒は腸内の善玉菌を増やしておくことで予防ができます。善玉菌は腸内環境を整え便秘を予防するだけでなく、食中毒菌が腸管に侵入するのを防ぎ、体の外へ排出する働きがあるのです。腸を整えると、便秘や食中毒の対策になるのはもちろん、肌質が向上したりとメリットがたくさんあるそうです。ここでは、善玉菌を増やして腸を整える食材で、朝でも手軽に摂取できるおすすめの食材をご紹介します。

おすすめ(1)青汁

青汁には、下記の3つの素材が含まれています。

・ケール
「野菜の王様」として知られるケールには食物繊維が多く含まれています。食物繊維は胃や腸で水分を吸収し大きくふくらんで便の量を増やしてくれる効果があります。加えて、腸を刺激して蠕動運動(ぜんどう運動)を活発にしてくれる効果もあるので、お通じ・便秘の改善に役立つ野菜として人気です。

・大麦若葉
ケール同様、食物繊維を多く含みます。栄養価はケールよりも優れているとも言われており、大麦若葉に含まれている不溶性食物繊維は、水に溶けにくいのが特徴的で水分を吸収する能力が優れているとされています。

・抹茶
抹茶は腸内フローラを変化させ、一部の悪玉菌を減らしつつ、善玉菌を増やす可能性があるという研究結果が出ています。また腸内フローラは便性やおなかの健康だけでなく、肥満やがん・糖尿病・心疾患などの生活習慣病、アレルギーなどとも密接な関係があることが知られるようになり、近年、注目を集めています。

おすすめ(2) 納豆

乳酸菌を含みます。乳酸菌やビフィズス菌は善玉菌を直接摂取できます。摂取し続けても腸内に定着することはないため、継続的に補充することが大切です。

おすすめ(3)バナナ

食物繊維やオリゴ糖を含みます。どちらも善玉菌のエサとなって、善玉菌の増殖を促します。

監修:工藤内科 工藤あき医師
消化器内科医 美腸・美肌評論家。一般内科医として地域医療に貢献する一方、消化器内科医として、腸内細菌・腸内フローラに精通、腸活 × 菌活を活かした美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。NHK『ひるまえほっと』、フジテレビ『ホンマでっか!? TV』など、テレビ、書籍、雑誌監修などメディア出演多数。

文/ふじのあやこ

 

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