籐を知り尽くした職人による、耐久性に優れた美しい手作り品
かつて温泉旅館や銭湯でよく見かけた籐製の籠。籐は強くて軽く、柔軟で湿気に強いという特性から、日本でも多くの生活用品に用いられてきた。しかし、昭和50年代頃にアジアから安価な籐製品の大量輸入が始まると、国内の工房の多くが廃業の道を余儀なくされた。そんな中、“質のよい籐具を届けたい”という一心で籐製品を作り続けてきたのが、明治40(1907)年創業の「ツルヤ商店」だ。
このランドリーは、110年以上の歴史をもつ同店が、籐の籠を現代の暮らしになじむように改良した力作。バスケットは、底と側面を籐で密に編み上げ、上部の縁には籐の皮を巻きつけている。ラックの脚は、バーナーで熱を加えてまっすぐに整えた棒状の籐で、接合部分は籐の皮をしっかりと巻いて強度を高めている。
「東南アジアから輸入する籐は、堅さも色合いもさまざま。均一な仕上がりと安定性、耐久性を確保するには、素材の状態をよく見極め、バーナーの加熱具合や編む際の力加減を変える必要があります。そのため、ほとんどの工程を職人が手作業で行なっています」と、自らも職人で4代目代表取締役・會田源司さんは語る。
無着色・無塗装の優しい風合いは部屋の和洋を問わず、次第に艶やかな飴色へと変化していく過程も楽しみな家具である。
【今日の逸品】
昔ながらの籐籠
ツルヤ商店
11,000円~(消費税込み)