2019年、100歳で世を去った日本画家の堀文子さん。新作を目にすることはもう叶わないが、堀さんの生き方や残された絵は、今もなお、感動を与えてくれる。

『サライ』で長期連載。「命といふもの」の世界

堀文子さんは、自身の年齢を気にすることなく、常に新しいことに挑戦し続けた。「命といふもの」の連載もそのひとつだ。本誌『サライ』にて連載を始めたのは、86歳の時のことである。

自身の絵に、折々の思いを言葉として添える。編集部は当初、これまで描いた絵に文章を付けることを想定したが、堀さんは断った。

《今まで、心にしみていながら絵にしなかったものが、私には山ほどある。それをこの小さな舞台に引き出すことにしよう》(『堀文子画文集 命といふもの第1集』)

今まで誰も描かなかった絵を描きたい。堀さんのその思いが結実したのが、この連載だった。ここには新鮮な驚きがある。

「これを機会に、どこにも描けなかったテーマに向き合いたい」と、一作ごとに熱中した。

『サライ』2005年9月1日号の「命といふもの」に掲載された作品。堀さんは今まで誰も描かなかったテーマを好んで取り上げた。

連載の原画を特別に販売

『桜桃とアスパラガス』

アスパラガスの緑とサクランボ(桜桃)の赤の取り合わせが、目に鮮やかで美しい。「見れば見るほど不思議だ」と、堀さんはいつも新鮮な驚きで対象を見つめ、その構造の美しさにのめり込んだ。

堀さんにとって、描くことは「見極める」ことだった。貝殻の模様のひとつひとつ、アスパラガスの茎の一本一本を見つめ、そのどれもが同じでないことに驚き、かつ命を形作っている、その精巧な美しさに驚嘆した。
 
16年間、100歳まで続いた「命といふもの」の連載は、最晩年の堀さんを代表するものとなった。今回、特別にその原画を購入することができる。

作品はむろん一点もの。『桜桃とアスパラガス』に描かれた繊細な筆遣いや鮮やかな色彩を、ぜひ堪能していただきたい。

堀さんの『桜桃とアスパラガス』を、床の間に飾ってみる。床の間に気品と重みが加わった。
サクランボとアスパラガスの質感が巧みに描き分けられている。
作品の裏に貼られた、堀さん直筆の署名と題名が書かれたカード。力強さが感じられる、特徴的な筆致だ。
絵の右端の中央に記された堀さんのサイン「文」。堀さんは額装されるサイズを想定して署名をした。この絵も堀さんの指定した範囲で額縁の枠を決めている。

『桜桃とアスパラガス』額装

ナカジマアート(日本)
330万円(税込み価格)
画寸縦18.5×横36.5cm 額寸縦36.3×横54.2×高さ4.0cm

ご購入はこちら

堀文子さん直筆の小さな表札が来訪者を出迎える。
画廊ナカジマアート「堀文子の部屋」

 
東京・銀座にある画廊・ナカジマアートが運営する「堀文子の部屋」。その名の通り、堀さんのオリジナルグッズや堀さんの版画を展示・販売している。全国各地から、ファンの来訪が絶えない。

堀さん直筆の表札
画廊ナカジマアート「堀文子の部屋」。東京都中央区銀座5-5-9アベビル5階 Tel:03・3574・6008 営業時間:11時〜18時30分 料金:無料 休廊日:日曜 アクセス:地下鉄銀座駅より徒歩約3分

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取材・文/角山祥道 撮影/植野製作所
※この記事は『サライ』2023年6月号より転載しました。

 

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