来街目的、消費傾向、エンタメ、ファッション…イマドキ女子大生の比較分析からみえたエリア特性
若者が集まる主要都市である「渋谷・原宿・新宿・池袋」。株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(https://shibuya109lab.jp)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』と、「Tカード」のライフスタイル・データをもとにマーケティングプラットフォーム事業を展開するCCCマーケティング株式会社(https://www.cccmk.co.jp/)は、これらの街を利用する女子大学生(以下、JD)の購買データとWEB調査から、消費実態及びファッションに対する意識を把握、各エリアの特徴の比較分析を実施しました。
■「渋谷・原宿・新宿・池袋」各エリア生息女子大生の生態比較
行動商圏データおよびT会員を対象にWEB調査を実施した結果、「渋谷・原宿・新宿・池袋」の各都市を利用する大学生の消費傾向や、ファッションに対する意識に違いがあることが明らかになりました。
■来街目的比較
渋谷は「カフェ・ランチ」、原宿は「食べ歩き・プリクラ」、新宿は「ディナー・映画」、池袋は「イベント」での利用が主な目的に。
WEB調査にて各都市の来街目的を聞いてみたところ、共通してファッションやコスメのお買いものが上位にランクインしていますが、渋谷はカフェ・ランチ、原宿は食べ歩き・プリクラ、新宿は映画・ディナー、池袋はランチやイベント・ライブと、各都市の特徴が明らかになりました。
SHIBUYA109lab.によるグループインタビューでは、渋谷では友だちと2~3時間ほどカフェでおしゃべりをすることが多く、原宿はタピオカなどのワンハンドフードを楽しむため、何軒も食べ歩きをすることが多々あるようです。また、池袋にはアニメ・漫画系の展示会がたくさんあり、二次元コンテンツを楽しむためにイベントやライブに行っている人が多いことが分かりました。
■各都市のJDがお金をかけていること(消費の傾向)
渋谷JD・新宿JDは「自分磨き」、原宿JD・池袋JDは「ヲタ活」
WEB調査にて「お金をかけていること」を聞いてみたところ、各都市共通してファッション・コスメが上位にランクインしています。
各都市の特徴は、渋谷JDはエステ・スキンケア、スポーツなど「外見的な自分磨き」、新宿JDは健康食品・サプリ・映画・旅行など「内面的な自分磨き」にお金をかけている傾向があります。
また、原宿JDはアイドル・バンド・ライブ、池袋JDはマンガ・アニメ・TVゲームという結果になり、原宿JDと池袋JDは「ヲタ活」にお金をかけている特徴があることが分かりました。
原宿JDはアイドルやバンドなどの「3次元コンテンツ」、池袋JDはマンガ・アニメなどの「2次元コンテンツ」を対象にヲタ活をしている人が多く、原宿JD・池袋JDは同じ「ヲタ活」でも対象が異なります。
SHIBUYA109lab.の独自調査では、生息都市にかかわらず、多くの若者が「ヲタ活」に時間とお金を費やしていることが分かっていますが、今回の調査結果では、月間でヲタ活にお金を使っているNO.1は原宿JDと判明しました。K-POPや男性アイドルのグッズの購入や、コラボカフェの利用が「ヲタ活」のメインとなっています。
■エンターテインメント(書籍・映画)
渋谷JDはサブカル、原宿JDは恋愛系、新宿JDは人生指南書、池袋JDはヲタ活・勉強
TSUTAYAでレンタルしている映画、購入している書籍・雑誌についても、各都市の特徴が大きく表れています。
映画では、渋谷JDは『タイタニック』『雨に唄えば』『オペラ座の怪人』など、往年の名作のレンタルが多く、ややサブカル感が強い傾向が見られます。書籍に関しては『生田絵梨花写真集インターミッション』『西野七瀬1stフォトブック わたしのこと』など、好きなアイドルの写真集の購入が多く見られました。
原宿JDからは『ハウルの動く城』『ゲド戦記』『風の谷のナウシカ』などジブリ作品を中心に、純愛系の映画作品が人気です。書籍に関しても、『ニコルノホン』『マサユメ 窪田正孝写真家・齋藤陽道フォトブック』など、好きなタレントや俳優のスタイルブック・写真集、そのほか『君は月夜に光輝く』など恋愛系ライトノベルが上位にランクインしています。
新宿JDは、同世代からも人気の『きみに読む物語』や『オーシャンズ11』などメジャー映画作品を抑えている傾向にあります。書籍に関しては人生指南書が他のエリアのJDよりも多く、『ココ・シャネルの言葉』『好きな人を忘れる方法があるなら教えてくれよ』など、タイトルからも伝わってくる“心に訴えかける書籍”を好んでいる傾向にあり、彼女たちの「内面を磨きたい」という意識が伝わってきます。
池袋JDは『劇場版名探偵コナン』シリーズがレンタルランキングTOP10のうち8作を占める結果となり、圧倒的なコナン愛が垣間見える結果となりました。書籍ではSPI・TOEICなど勉強・就活系の書籍が多く見られ、真面目な一面も垣間見えました。
■ファッションに対する意識の違い
渋谷JDはこだわり、原宿JDはトレンドど真ん中、新宿JDは大人っぽいコーデ、池袋JDはファッションよりもヲタ活
WEB調査にて、ファッションに対する意識を聞いたところ、渋谷JDは他の都市のJDと比較して「周りの人とは違った服装をする(34.4%)」「従来のスタイルや型にはこだわらない服装をする(39.1%)」といった項目の数値が高く、トレンドよりも自分のこだわりのファッションスタイルを追求していることが分かりました。
原宿JDは「自分のファッションが人からどう見られているか気にする(71.2%)」「他人のファッションチェックをよくしている(71.2%)」の数値が高い傾向にあります。周りから「オシャレ」と思われることを重要視し、周りのオシャレな子のファッションをチェックし取り入れているため、今のトレンドのど真ん中のオシャレを抑えていると考えることができます。
新宿JDは、「ファッションアイテムを買うときは事前に情報収集する(58.0%)」の数値が最も高く、「自分のファッションが人からどう見られているか気にする(68.7%)」も原宿JDに次いで高い結果となりました。新宿JDは『FUDGE』や『GISEL』など、他の都市のJDと比較すると少し大人っぽい雑誌を購読しているのが特徴です。「お金をかけていること」や「購入書籍」の傾向も含め、「大人っぽくみられたい」という意識が強いことが分かります。
池袋JDは、他の都市のJDと比較してファッションへの関心度が全体的に低い傾向にあります。オシャレを追求したいというよりも、「同性から浮かないファッション」を目指しており、ファッションよりも自分の好きなコンテンツに対してお金と時間を使いたいという意識が強いようです。
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いかがだったでしょうか。女子大生と一口に言っても、出かける街によって意識や傾向が違うのが興味深いですね。あなたの娘さんが普段行っている街から、いろいろな生態がわかるのが興味深いですね。シニアにこの調査を行うとしたら、街はさしずめ、浅草・巣鴨・銀座、といったところでしょうか。
【アンケート調査概要】
(1)行動商圏特定セグメント分析
特定の商圏におけるT会員の消費行動をもとに、T会員をセグメントする手法。
今回はTカードのデータをもとに、各主要駅を生活領域にしている層を特定し、その特徴を分析した。
集計期間:2018年4月~2019年3月(1年間)
集計対象者:女性/19~22歳/各エリアへの行動履歴がある人
エリア:駅を中心に商圏を設定
渋谷:半径500m 新宿:半径1km
池袋:半径1km 原宿:半径500m
抽出データ:TSUTAYA店舗での雑誌/書籍/映画(レンタル/セル)
(2)T会員対象 WEB調査
調査期間:2019年7月22日~7月29日
調査機関:CCCマーケティング株式会社 Tアンケート(T会員へのWEB調査)
調査対象:女性/19~22歳/東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県居住者
割付:(1)1年以内に行動商圏ありかつ最も好きな街「対象のエリア(※1)」回答かつ「半年に1回以上」
(2)最も好きな街「対象のエリア(※1)」回答かつ「半年に1回以上」
※1対象エリア:渋谷・新宿・池袋・原宿
調査設計:SHIBUYA109lab./CCCマーケティング株式会社
有効回答数:計:501s(渋谷:128s 新宿:150s 池袋:150s 原宿:73s)
(3)SHIBUYA109ガールズグループインタビュー
調査期間:2019年7月~8月
調査対象:around20(18~21歳)女性
有効回答数:計:10s
(4)SHIBUYA109lab.の保有する若者マーケティングデータを調査結果考察に活用
※『CCCマーケティング/SHIBUYA109lab.共同調査』
※本記事に記載の会社名、製品名、サービス名等は、それぞれ各社の商標または登録商標です。