取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。

株式会社AlbaLinkは、「実家が事故物件になるかもしれないと感じた瞬間に関する意識調査」(実施日:2025年5月27日~6月10日、有効回答数:実家から出て暮らしている451人(女性296人/男性155人)、インターネット調査)を実施。同調査にて、「実家が事故物件になるかもしれないと感じた瞬間」を聞いたところ、1位は「親が一人暮らししている(10.6%)」となり、「親が高齢(8.0%)」、「身近で孤独死があった(6.9%)」と続いた。次いで、「実家の事故物件化を防ぐためにどのような方法をとっているか」と聞いたところ、「連絡をとる(44.6%)と回答した人が最も多く、僅差の2位は「様子を見に行く(43.5%)」だった。

今回お話を伺った幸子さん(仮名・43歳)は、自分の死を実感したとき、親の死についても恐怖を感じるようになったという。

学生時代から、結婚までは順風満帆だった

幸子さんは両親との3人家族。親から「一人っ子は周囲から甘やかされて育ったというレッテルがある」と言われ続け、厳しく育てられたという。しかし、その厳しさにも愛情はあったと学生時代を振り返る。

「両親はなかなか子どもを授からなかったみたいで、私は父親が30歳、母親が28歳のときの子どもなんです。うちの両親は結婚が20代前半だったので5年以上子どもを授からなかったのです。一人っ子だと周囲からは甘やかされて育ったと思われるんじゃないかと両親は危惧して、私を厳しく育てました。勉強はもちろん、箸の持ち方や姿勢など。文字もきれいなほうがいいと習字と一緒に硬筆も習っていました。私はローマ字で一度勉強に躓いてしまって、そうなると英語も全然わからなくなったんですよ。それに気づいた母親は毎日家で勉強に付き合ってくれましたし、父親は知り合いに海外の方がいて、週末によく集まるような場所に連れて行ってくれました。おかげで英語に苦手意識を持たずに済みました」

幸子さんは大学を卒業後に企業に就職し、そこで出会った男性と27歳のときに結婚。しかし、結婚生活は3年弱で終了してしまう。

「離婚の直接的な理由は夫の浮気ですが、その前に私の病気が発覚して、取り乱す私を支えることに夫は疲れたんだと思います」

幸子さんの病気はがん。他臓器への転移はなかったもののリンパ節などへの転移が見られ、抗がん剤を行うことになった。体が辛いこともあったが、見た目の変化を周囲に気づかれたくない思いから、幸子さんは理由を言わずに結婚後も続けていた仕事を退職していた。

「入院、手術を終えた後は、家に籠って、誰にも会わずに、病院と家との往復だけ。家でただ夫の帰りを待つだけの生活で、その寂しさを夫にぶつけてしまったんです。

他の女性を選ばれたことは当時はとてもショックでしたが、今振り返えると仕方なかったのかなって思っています」

【「親よりも1日でも長く生きる」次ページに続きます】

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