「許さなくていい」と、浮気男は去っていった
友人の紹介で出会った2人には、付き合っていた期間に共通の友人がたくさんいた。美香さんたちが紹介して付き合った人もおり、そのほとんどが美香さんよりも早く結婚に至っていたという。
「付き合って2~4年ぐらいで結婚する人たちを何人も見てきました。その度に周囲から『2人は結婚しないの?』と聞かれて、彼はその言葉をスルー。本当にあのときにこの不誠実さに気づいて、別れるべきでした」
別れるきっかけになったのは、彼の浮気だった。最初、美香さんはそれを知らなかったことにした。
「友人が、他の女性と仲良さそうに歩く彼を見かけて、私に教えてくれたんです。友人は私のためを思っての行動だったのですが、少しだけ余計なことをされたと思ってしまっていました。
私は浮気を知ってからも彼を問い詰めることはしませんでした。知らないふりを続けたんです。きっと一時的なものだって思ったから。恋人だったけど、10年以上付き合うと家族のような情が私にはあったので、彼にもそんな情が私に対してあると思っていたんです」
美香さんは彼の浮気を許そうともしたが、彼のほうから浮気を理由に美香さんの元を去っていったという。
「浮気とは別のことでケンカしたときに、彼に浮気のことを知っていると伝えてしまったら、『許さなくていい』と被害者ぶって彼から離れていきました。浮気をされたことが別れるきっかけだったので、そこで別れたくないとは、プライドが邪魔して言えませんでした」
最初の頃はただ悲しみから泣いていたというが、その後に無気力状態になり、仕事はおろか、食事をする、お風呂に入るといった日常生活にも支障をきたすようになったと当時を振り返る。
「別れてしばらくは毎日泣いていましたが、それでも仕事に行かなければと日常生活を送れていたんです。でも、次第に泣かないようになり、彼のことを思い出さないようになると、何もできなくなりました」
働くこともできなくなった美香さんは実家に戻ることになるが……。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
