ペットロスを側で支えてくれたのは子どもだった

様々な手続きを終え、小学校6年生になる少し前に夫と夫の連れ子は同居を始め、転校は6年生になるときに行った。そこから一緒に過ごす機会を少しずつ増やしていったという。

「6年生での転校は少しかわいそうな気もしましたが、中学でいきなり転校だと孤立してしまう恐れがあるようで、6年生での転校を選択しました。子どもを迎え入れる前に私も引っ越しなどバタバタでしたね。そこからはお互いが負担にならないように気を遣いながら一緒に過ごす時間を増やしていきました」

夫の連れ子と里香さんの距離を縮めたのは猫だった。

「夫と私が別々に暮らすようになったときはまだ新型コロナが流行中で、子どもも制限のある生活を強いられていました。外食はまだ満足にできなかったので、気分転換の意味もあり私の家で3人で食事をすることもありました。そのときに子どもが私の猫のことをとても気に入ったんです。そこから猫に会いたいからと1人でも私の家に遊びに来るようになって、夫を抜きにした2人と1匹で過ごす時間が増えていきました。猫グッズを一緒に選びに行くなど、2人だけで外出することも増えていきました」

2人の関係をつなげてくれた猫が、今年の5月に亡くなった。

「高齢に差し掛かったときから心臓に雑音があると言われていました。それでも薬も飲まずに定期観察で大丈夫だったんですが、苦しそうに呼吸をしていることに気づいてすぐに病院に連れて行ったら、心臓が弱っていること、しかし高齢で手術に耐えられない可能性が高いことを告げられ、呼吸器の中で頑張ってくれたのですが、そこから数日で……。そのときは何も手につかなくなり、有休を消化してしばらく家でぼーっとしていたんです。夫は仕事だったのでいなかったのですが、子どもは学校が終わるとすぐにかけつけてくれていました」

子どもは猫がいなくなった後も頻繁に里香さんの家に訪れ、毎日写真をプレゼントしてくれているそう。また、家に泊まりに来てと言われることもあるという。

「子どものスマホには猫との写真がたくさんあって、私の家に来る度にそれを1枚ずつプリントアウトして、部屋の壁に貼るようになったんです。子どもが帰った後に私が寂しくないようにしてくれているのだと思います。また、1人にしてはいけないと思っているのか、家に泊まりに来いと言うことが多くなり、今、夜は2人の家で寝ることが多くなっています」

関係をつないでくれるものは、人とは限らない。これからどうなるかはわからないが、3人が家族になることに、血の繋がりや、一緒に暮らすことは関係ないことだけはわかった。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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