元「ミス日本」のママ友からアドバイスを受ける

夫の浮気も、日々の忙しさに紛れてしまう。子供がいるとあっという間に月日は流れ、気がつけば結婚20年になっており、娘の高校進学のタイミングだった。

夫は結婚20年の記念に、ダイヤモンドの指輪をくれた。かつて8号だった指輪は11号になっており、薬指にはまり切らず、小指につけていた指輪と比較して、その大きさに夫婦で笑った。尚美さんはその瞬間から、「このままでいいのか」という揺らぐ気持ちが強くなっていった。

「時間は巻き戻せないし、自分の人生にも満足している。どうしようかな……と思っていたことを、PTAの会合で親しくしていたママ友にちょこっと話したんです。そのママ友は、若い頃にミス日本のファイナリストになった人で、外資系の優良企業に勤務している。最近、離婚して年下の彼氏ができたという話を聞いて、“うらやましい”と口から出てしまったんです」

ママ友は「逆に私は尚美さんがうらやましいよ」と言った。ママ友は夫から長年のモラハラとDVを受け、2年間の別居ののち離婚したという。尚美さんの安定した穏やかな生活を望ましいと語っていた。

「彼女といろいろ話すうちに、過去の夫の浮気が忘れられないこと、このまま女として終わる可能性があること、自由な時間が欲しいことなどを打ち明けてしまったんです。そしたら彼女は“いずれにせよ、痩せることだね”と即答。当時、155cm75kgで、動くのも大変で医師からも言われていたのですが、食べることが楽しくて」

そのママ友とは、高校近くのファミレスで話をしていた。彼女が飲んでいるのはホット烏龍茶、尚美さんが飲んでいるのは、ロイヤルミルクティだった。ママ友は「飲み物を、ノーミルク、ノンシュガーにするだけでも、効果は出るよ」と言った。

「あとは、間食をやめ、よく噛む。菓子パンとパンをやめ、肉を食べろとアドバイスをくれた。それを続けると、1年間で8kgも減っていたのです。血圧も下がり、LLサイズの服が着られるようになった。お風呂が少し広くなったように感じるのも新鮮でした」

155cm 75kgから 67kgになったが、世間的には太め体型であり、誰も変化に気づかないが、ママ友は喜び、褒めてくれた。それが純粋に嬉しかったという。

「女としてこのまま終わるのが嫌だという、気持ちの揺らぎから始まった減量です。でも、まだ“女”にはなれない(笑)。ただ、この体型になると、歩いても膝が痛くなりにくい。市販の膝サポーターが使えるようになったので、ウォーキングを始めました」

食生活の改善に加えて、歩く習慣を取り入れたら、体は少しずつ変わっていった。かつて、200m先のコンビニに行くのも、電動アシスト付き自転車だったが、歩くようになっていった。

「それから1年で5kg減りました。155cm75kgから62kgになって、やっと夫が“痩せた?”と言ってきた。Lサイズの服も入るように。この辺りから、娘が“ママ、一緒に買い物に行こう”と誘ってくれるようになりました」

減量の目的は「女として終わりたくない」という気持ちの揺らぎだった。さらに減らすには、運動しかない。そこで、尚美さんは、当時54歳までの人生で、全くというほどやったことがない、運動を始めることにする。

【水泳に挑戦するも、泳げず恥ずかしいし、死ぬかと思った……〜その2〜に続きます】

取材・文/沢木文

1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』『不倫女子のリアル』(小学館新書)がある。

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