子どもができたから、籍を入れただけ
上京して勤めた美容院で新しい恋人ができ、その男性との子どもを妊娠したのが31歳のときだった。そのまま結婚することになり、仁美さんは仕事をやめることになった。やめた理由には妊娠したこともあったが、同僚からのいじめもあったという。
「予定外の妊娠で、しかも人気があった先輩美容師と内緒で付き合った果てに……、でしたからね。周囲から無視されるようになって、あまりの居心地の悪さに、妊娠中の体調不良を感じることなく、やめることにしました。店長からも呆れられて、8年ほど勤めた場所だったのに、送別会もありませんでした」
結婚相手の男性との仲もそこまでいい状況ではなかったというが、妊娠を機に入籍することになる。プロポーズを受けたからだ。しかし、そんな2人が結婚してもうまくいくわけもなく、夫となった相手は妊娠中こそ仁美さんの体調を気遣っていたが、同棲中からは何も変わらず、子育てを手伝わずに朝帰りを続けた。離婚は大きな原因があったわけではなく、そうした日々の不満にお互いが限界になっただけだった。
「関係は結婚前からすでにギリギリだったのに、子どもができたからと無理やり修復しようとしただけでした。結局、修復することができず、私は妊娠や子育てで今までのようにはいかなくなったことへのフラストレーションを夫にぶつけ、夫も自由とかお金とかの我慢が限界になって、もう別れようと。あのときは先行きの不安よりも、今の状態から脱したいという一心でした」
離婚後に生活を立て直すために、母親の後押しもあり実家に戻ることになったが。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
