年末が近づいてくると「ふるさと納税」のお得な情報が良く聞かれます。現在、日本全国でのふるさと納税利用率は約16%とまだまだ低い状態です。「ふるさと納税」はお得という話を聞いても、なんとなく手を出せずにいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、これまで『サライ.jp』で連載中の【プロから学ぶマネー講座】から、ふるさと納税に関する記事をご紹介します。「ふるさと納税」の基礎知識はもちろん、年金受給者の「ふるさと納税」の方法や、返礼品のランキングも併せてご紹介します。今年こそはチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
1:「ふるさと納税」の基本的な仕組みと、メリットとは?
ふるさと納税は、納税という言葉が使われていますが、実際には、都道府県・市区町村への寄附を意味します。ふるさと納税では、原則として自己負担分の2,000円を除いた全額が所得税・住民税の控除の対象になります。しかし、控除の対象となる金額には、限度があるので注意が必要です。
ふるさと納税のメリットは、何と言っても実質負担2,000円で好きな返礼品がもらえること。例えば、5万円のふるさと納税をした場合、4万8,000円の税額控除がうけられてかつ、約1万5,000円程度の返礼品がもらえます。
ふるさと納税とは?|ふるさと納税のメリット・デメリット、仕組みをわかりやすく解説【プロから学ぶマネー講座】
2:「ふるさと納税」はいつ控除を受けたいかで申込期限が異なる
ふるさと納税により寄付を行い、所得税や住民税の還付・控除を受ける場合、還付・控除をいつ受けたいかによって申し込む時期を調整する必要があります。たとえば、2025年6月から2026年5月における住民税を抑えたい場合には、2024年12月末までにふるさと納税の申し込みを完了させなければなりません。
寄付金の支払い方法によって申込完了日が異なる点についても、注意が必要です。
・銀行振込… 指定口座に振り込んだ日
・現金書留… 自治体側で受領した日
・クレジットカード支払… 決済が完了した日
ふるさと納税の申し込み期間とは?|控除を受けるための手続きや期限を解説【プロから学ぶマネー講座】
3:「ふるさと納税」には控除の限度額がある
ふるさと納税は、寄付した分だけ際限なく税金から控除されるわけではありません。ふるさと納税をすることで損をしないためには、上限額(以下「限度額」)を超えない金額で寄附することがポイントとなります。
ふるさと納税額の限度額は以下のように計算します。
(ふるさと納税額 - 2,000円)×(100% - 住民税の基本分の税率 - 所得税率)※1 ≦住民税所得割額 × 20%※2
※1 特例分からの控除額 ※2 特例分の限度額
例えば年収600万円独身の会社員の場合(給与以外の所得なし、社会保険料と基礎控除以外の控除なし)、ふるさと納税額は約77,000円(千円以下切り捨て)となります。
ふるさと納税のポータルサイトの他、「総務省 ふるさと納税ポータルサイト」に全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安が掲載されていますので参考にしてみてください。
ふるさと納税の控除の限度額とは?|限度額を確認するための計算式を解説【プロから学ぶマネー講座】
4:年金を受給していても「ふるさと納税」は活用できる!
ふるさと納税は誰でも活用することができます。そのため年金受給者でもふるさと納税することは可能です。ただし、その控除額の上限を確認しないまま多額の寄付をしてしまうと、限度額を超えた寄付は、所得税や住民税を控除することができないので、メリットを生かしきれないことになります。
というのも、ふるさと納税の返礼品は、一般的には寄付金額の1~3割くらいの価格設定の品物であることが多く、税額の限度額を超えた寄付をすると普通にそれらの商品を購入したほうが安く手に入れることができるからです。
年金と給与のいずれも収入がある場合もありますが、まずは控除額の計算の仕組みを理解して、ご自身の限度額を知ることが必要です。
年金受給者もふるさと納税はできる?|年金受給者の控除限度額の計算方法を解説【プロから学ぶマネー講座】
5:「ふるさと納税」で住民税を控除してもらう手続きは2パターン
ふるさと納税で住民税の控除を受けるためには「ふるさと納税ワンストップ特例制度」もしくは「確定申告」の手続きを行う必要があります。いずれの方法でも、12月末までに自治体にお金を寄附し、定められた期限までに申告を行うことで住民税の控除を受けることが可能となります。
ワンストップ特例制度を活用すると、確定申告が不要な給与所得者などで以下の要件をクリアしていれば、確定申告をする必要がありません。
・もともと確定申告を行う必要がない給与所得者などであること
・寄附の際に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を自治体に送付していること
・年間(1月~12月)でのふるさと納税の寄附先が5自治体以内であること
うっかり6自治体以上に寄付を行ってしまったり、ワンストップ特例制度の期限に間に合わなくても、確定申告を行うことで寄付金控除を受けることが可能です。
もともと確定申告が必要であれば、通常どおり確定申告することで寄付金控除を受けることができます。
ふるさと納税で住民税の控除がされているのかを確認する方法とは?【プロから学ぶマネー講座】
6:「ふるさと納税」で人気の返礼品とは?
住民税の控除が目的の「ふるさと納税」とはいえ、返礼品も楽しみのひとつです。主要16サイトを横断比較できる「ふるさと納税ガイド」が行った返礼品に関するアンケート調査によると、もらってよかった返礼品のジャンルの1位は肉類。次いで魚介・海産物、お米と続きました。
肉類を選んだ理由としては「スーパーで買うよりも鮮度が高く、家計にも優しく助かりました」「予想以上に味が美味しかった。冷凍なので長い間楽しむことができた」といった意見が寄せられていました。魚介・海産物を選んだ人は「臭みも全くなく、とても美味しく次回も注文したいと思った」、お米を選んだ人は「自分で買うと重いので運ぶのが大変だが、送られて来るので助かる」といった意見もありました。
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「ふるさと納税」は住民税の節税になるだけでなく、返礼品が送られてくるというお楽しみもあります。2024年12月末までに申し込みを完了すれば、2025年6月から2026年5月の住民税を抑えることができますよ。
文/編集部