今の時代、シニア世代にとって「生きやすい世の中か?」と問われたら、決して「生きやすい」とは答えられないように思います。その理由の一つは、社会通念の変化ではないでしょうか。親や先輩、師と仰いだ人たちから指導を受け、身につけた「常識」が大きく変移しているように感じます。
しかし、私たちが大きな変移と感じていることも、百年、二百年という単位で見れば、意外と小さな変化なのかもしれません。そのことは、今を生きる人々に影響を与え続ける先人たちの名言や金言が物語っているように思います。
第34回の座右の銘にしたい言葉は「時(とき)は金(かね)なり」 です。
目次
「時は金なり」の意味
「時は金なり」の由来
「時は金なり」を座右の銘としてスピーチするなら
最後に
「時は金なり」の意味
「時は金なり」について、『⼩学館デジタル⼤辞泉』では、「時は貴重であるからむだに過ごしてはならない」とあります。つまり「時間はお金と同じ、いやそれ以上に貴重である」という意味です。一度過ぎた時間は二度と戻ってこないため、慎重かつ有意義に使うべきであるという考え方が込められています。
「時は金なり」の由来
「時は金なり」ということわざは、18世紀のアメリカで活躍した政治家であり発明家である、ベンジャミン・フランクリンが著した『Advice to a Young Tradesman』(邦題は『若き商人への手紙』)の中にある「Time is money」という表現が由来とされています。
アメリカ合衆国建国の父と言われるベンジャミン・フランクリンは、100ドル紙幣の肖像画にも描かれているのでご存じの方も多いでしょう。
彼は勤勉と時間の価値を重んじ、時間を無駄にせずに効率よく生きることを説きました。その考え方が広がり、今では日本を含む世界中で広く使われる言葉となっています。
シニア世代にとって「時は金なり」は、人生の深みを知るための実践的な指針として価値があります。時間を大切にすることは、健康的なライフスタイルや精神的な充実感につながります。お金のように管理や投資を考え、人生を豊かにする要素として時間を活かしていくことが、日々の満足感に繋がるのです。
「時は金なり」を座右の銘としてスピーチするなら
「時は金なり」ということわざを通じて、シニア世代が時間を大切にする意識を持ち、自分にとっての価値を見出す生き方を提案することで、共感を得るスピーチに仕上げることができます。以下に「時は金なり」を取り入れたスピーチの例をあげます。
一日を振り返る習慣についてのスピーチ例
「時は金なり」という言葉を胸に、私は一日一日を大切にするよう心がけています。若い頃は、一日の終わりに振り返ることも少なかったかもしれません。しかし、最近では夜に5分だけ時間をとって、その日やり遂げたことや楽しかった瞬間を書き留めるようにしています。この5分の振り返りが、明日をより良い日にするための小さなヒントをくれるのです。
例えば、「今日は孫と電話で話せた」「久しぶりに料理に挑戦した」など、何気ない出来事に幸福を感じられるようになりました。「時は金なり」という座右の銘を通じて、毎日が過ぎ去るのをただ見送るのではなく、振り返り、その瞬間を楽しむことの大切さを感じています。皆さんもぜひ、時間の価値に気づき、一日一日を意識して過ごしてみてください。
最後に
「時は金なり」という言葉を座右の銘にし、日々の時間を大切にする生き方は、シニア世代にとって健康で充実した生活をもたらす強力な指針となります。時間を味方につけ、意識的に過ごすことで、後悔の少ない、心豊かな人生を築きましょう。時間はすべての人に平等ですが、その価値をどう活かすかは自分次第です。
●執筆/武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com