母親は娘の整形を肯定してくれた
義両親はその場では整形について触れてくることはなかったが、子どもの目が腫れぼったく、整形後の奈那さんとは似ていなかったことをチクチクと指摘してきたという。
「私は元々奥二重で、今は二重です。娘が腫れぼったい目なのを見て、『この子の目はパッチリしないだろうね』とか言われていました。夫も奥二重で、娘の目は私だけに似たわけではないのに……。義母の娘に対する言葉を聞く度にいたたまれない気持ちになりました」
産後は実母と義母が様子を見に来てくれていた。2人が鉢合わせしないように奈那さんが調整していたというが、どちらも「近くに寄ったから」と予定外でやってくることもあり、鉢合わせすることもあった。そのときに義母から奈那さんの整形について母親は聞かれたことがあったという。それに対して毅然とした態度で言い返してくれたそう。
「『息子から聞いたんですけど、(奈那さんの)整形を反対されなかったんでしょう』というようなことを、私が授乳で別室にいるときに母親は義母から聞かれていたみたいです。そのときに母親は『娘は前から綺麗でしたけど、もっと綺麗になりました。私ももっと若ければね』と、私にも聞こえるような大きな声で答えてくれました」
そこから義母からの遠回しな整形否定はなくなったという。そして今、奈那さんは高校生になった娘から整形したいと言われている。奈那さんは母親がしてくれたように、整形に反対はしないつもりだ。
「もちろん、高校生なので、どうぞどうぞとは言えません。でも頭ごなしに否定せずに、なぜそう思ったのか、整形はどのようなものなのかを一緒に考えていきたいと思っています。今は『友だちと一緒にしようと思っている』という、私のときにはなかった新たな価値観もあるようで、そこから受け入れていかなければいけないと思っています」
時代によって、年齢によって、価値観は変化していくもの。整形することは以前よりも多くの人に受け入れられるものになっている。今、整形は親からもらった大事な顔を傷つける行為ではなく、親からもらった顔をより愛するために必要なものになっているのかもしれないと感じた。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。