取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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株式会社ビズキが運営する「Kirei Style(キレイスタイル)」では、美容整形に関するアンケート(実施日:2024年6月21日、有効回答数:20歳~59歳の女性2000人、インターネット調査)を実施。「美容整形を受けた場合、他者に報告するのに抵抗はありますか?」という問いに対して、「抵抗がある」38.0%、「やや抵抗がある」32.3%、「あまり抵抗がない」20.2%、「抵抗がない」9.6%という結果になった。年齢別にすると、「抵抗がある」と回答したのは、20代は22.0%、30代は37.6%、40代は41.6%、50代は50.8%となり、年齢が上がるにつれて抵抗がある人が多いことがわかった。
今回お話を伺った奈那さん(仮名・44歳)は、結婚する前に整形をしているが、親や当時彼氏だった夫も反対することはなかったという。
プリクラの普及で自分の顔を知る
奈那さんは両親との3人家族。中学は部活少女で、自分の容姿は普通だと思っていたと振り返る。
「中学のときはバレー部に入っていて、部活の仲間と体を動かすことが一番楽しくて、髪も短くて肌も真っ黒でした。友人の中にはテカリ防止のフェイスパウダーをしている子もいたけど、私は化粧をしてもどうせ汗をかいて落ちるし、学校で顔を洗うこともしょっちゅうだったので、化粧とは無縁でした。自分の容姿もまったく気にしてなかったんです。かわいいともブスとも言われることがなかったので、普通だと思っていました」
奈那さんが化粧をするようになったのは高校生から。プリクラ(プリント倶楽部)が普及したことにより、自分の顔が地味なことに悩むようになったという。
「高校は部活動に入らずに、友だちと遊んだり、彼氏を作ったりしたいと思っていました。私が高校生になったぐらいでプリクラが大流行したんです。そのときはまだPHSが出てきたぐらいの時期で携帯にはカメラ機能なんてもちろんなくて。自分の顔が写真ではなく、シールになって残るっていうのは画期的でしたね。みんなでそのシールを交換することも流行っていて、最初は必要に迫られてプリクラを撮ったという感じでした。
その最初のほうに撮ったプリクラの自分が、本当に地味な顔をしていたんです。当時は画像が荒くて、今みたいに盛ってもくれなかったから、ただパッとしない顔が映りました」
映りがよくなるように、まばらだった眉毛を整えるためにアイブロウペンシルから化粧を始めて、高校を卒業する頃には二重のりを使って、ぱっちり二重を作っていた。
「まぶたに化粧用ののりを使って二重にしていました。高校生の頃は肌の皮脂も多くて夕方くらいにはその二重のりが取れてしまっていたので、学校でつけ直すことが日課になっていました。友だちも二重のりを使っていたから、特にのりで二重にしていたことを周囲に隠すことはしていませんでしたね」
【10年の二重づくりでまぶたが限界に。次ページに続きます】