取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして子供について思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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20歳以上年の離れた2人の愛を描いたドラマ「東京タワー」(テレビ朝日系)が話題を呼んでいる。株式会社ネクストレベルが運営する「縁結び大学」では、6歳以上の年の差があるパートナーとの結婚経験がある男女を対象に「年の差婚」についてのアンケート調査(実施日:2024年1月15日~2024年1月19日、有効回答数:20歳以上かつ、相手と6歳以上の年齢差がある結婚をしたことがある男女270名(男性94名・女性176名)、インターネット調査)を実施。調査では、「結婚するとき、年の差は気になった?」との問いに対して「まったく気にならなかった」と「あまり気にならなかった」を合わせると男性が62.8%、女性は62.0%が気にならなかったと回答した。しかし、「年上パートナーの残念なところワースト5」では、年上の妻を持つ男性の意見ワースト1位は「偉そうにされる・上から目線」、年上の夫を持つ女性からの意見でも同意見は4位という結果になっている。
今回お話を伺った友紀さん(仮名・41歳)は25歳のときに19歳上の男性と結婚した。結婚は友紀さんの親の反対を押し切って、認められないままの入籍になっていた。【~その1~はコチラ】
家庭内でも上司部下の関係が続き、ケンカにさえならない
友紀さんの両親に反対されるも、2人は予定通り、2人が付き合った日に入籍。すでに同棲していたマンションでそのまま新婚生活を続け、入籍日の1か月ほど前にはすでに友紀さんは仕事を退職していた。友紀さんは専業主婦となり、夫のために生活をする毎日に最初のころは充実感があったというが。
「最初のころは、です。夫が起きる前に朝食の準備をして、会社に行っているときには家の掃除、晩御飯やお風呂の準備、そして夫が帰ってきたら一緒に食事をして、寝るまで一緒にいる。世界がすべて夫だけになったんです。
夫だけになると、夫にもっと構ってほしくなるのに、夫は結婚前ほど構ってはくれませんでした。私がそれに対して不満を口にすると、困ったような顔をして、諭すような言い方で無理だと伝えてきます。もう私は夫の部下ではないのに、ずっと会社での上下関係が続いているような感じでした」
上司だったときから夫は怒るのではなく、相手を諭すような優しい口調で注意してくる人だった。友紀さんには優しく見えた姿が家でも続いたことで、「わかってもらえていない」という気持ちが大きくなっていったという。
「こちらが怒りをぶつけても、かわされるといった感じ。ケンカにならないので取り返しがつかないほどにケンカの火種が大きくなることはないけれど、不完全燃焼でモヤモヤする気持ちだけが残りました。そもそも言い合えないって、夫からケンカできる相手だと思われていない、つまり私のことを見下しているのと同じなんですよね」
夫への不満は解消されず、その不満を理解してくれる人も周囲にはいなかった。モヤモヤした気持ちが爆発してしまったとき、友紀さんは夫に「別居したい」と家を飛び出し、そのまま何度かの話し合いを経て離婚に至る。
「夫は話し合おうと言ってはくれるものの、実際には対等に話し合えることはなく、私の言い分を聞いても、結局は夫のできる範囲に丸め込まれてしまいます。すごく遠回しに私が間違っていると言われ続けたことで、会話をするたびにどんどん自分のことが価値のないものに思えてくるんです。
もう別々に暮らしたいと思って、夫に泣きながら必死にお願いして別居してもらいました。私は両親とは結婚のとき以来連絡を取ってなかったし、近くに仲のいい友人などもいなかったので、遠方に暮らす友人の家に転がり込み、何度か2人の家と友人の家を往復する期間を経て、離婚となりました」
【元夫はずっと両親と連絡を取っていた。次ページに続きます】