迂闊に人生を語り、昔の経験を口にすれば「老害」と揶揄される昨今。しかしながら、たとえ陰で「老害」と呼ばれようとも、申しておかなければならない「一言」はあるもの。さりとて、長々と諭してみたところで、相手の心に伝わるとは限りません。貴重な時間が、無駄になってしまうこともしばしば。

ならば、先人が残した言葉や金言を用いることで、あなたの真意や願いが相手に伝わる良案となるかもしれませんね。そんな時に役立つ言葉をご紹介いたしましょう。第9回の座右の銘にしたい言葉は「一意専心(いちいせんしん)」 です。

目次
「一意専心」の意味
「一意専心」の由来
「一意専心」を座右の銘としてスピーチするなら
まとめ

「一意専心」の意味

「一意専心」について、『⼩学館デジタル⼤辞泉』では、「ひたすら一つの事に心を集中すること」とあります。漢文訓読すると「意を一(いつ)にし心を専(もっぱ)らにす」となります。

「一意」も「専心」もどちらも心を一つにすること。一つのことに集中することを意味します。何かを成し遂げるためには、散漫な気持ちを抑え、その目標に向けて集中することが不可欠です。この言葉は、私たちに集中力の重要性を教えてくれます。

「一意専心」の由来

中国春秋時代の政治家「管仲(かんちゅう)」に仮託する形で、様々な分野における思想や哲学をまとめた書物『管子(かんし)』に、次のように記されています。

「四体既に正しく、血気既に静かにして、意を一にし心を摶(もっぱ)らにし、耳目、淫(いん)せざれば、遠しと雖(いえど)も近きが若し」

【現代語訳】
健康な体と血流や呼吸が安静で穏やかな心を持った状態で一つのことに集中すれば、遠くにあるものも近くで感じられるほどに感覚が研ぎ澄まされる。

この「意を一にし心を摶らにし」が、「一意専心」の由来となったといわれています。一つのことに集中することで心を穏やかに保ち、自己の洞察を深める。これは、人生のあらゆる側面に適用可能であり、目標達成のみならず、内面的な平和を見つけるための方法としても価値があります。

「一意専心」を座右の銘としてスピーチするなら

「一意専心」を座右の銘としてスピーチする場合、それは「どんな状況にあっても、自分の目標に対して全力を尽くす」という強い意志を表明することができます。以下に、「一意専心」を取り入れたスピーチの例を三つあげます。

1:新しい趣味に挑戦する時のスピーチ例

「退職してからというもの、私は多くの時間をどう過ごすかについて考えてきました。そして、長年心惹かれながらも手を出せなかった絵画に挑戦しました。初めは上手く描けないもどかしさに何度も挫けそうになりました。しかし、座右の銘である『一意専心』という言葉が私を支えてくれました。

一つのことに心を集中させ、コツコツと努力を続けた結果、少しずつですが上達していくのを感じることができました。この言葉があったからこそ、新しい自分を発見し、充実した毎日を送ることができています。この経験から私が皆さんに伝えたいのは、何事も一意専心で取り組むことの大切さです。年齢に関係なく、新しいことに挑戦する勇気を持ってください。」

2:地域貢献活動に参加する時のスピーチ例

「私たちのコミュニティは、一人ひとりの小さな行動によって支えられています。私は退職後、地域の清掃活動に参加することにしました。最初は単なる時間つぶしのつもりでしたが、やがてこの活動が私にとって何よりも意味のあるものになりました。ここで私が大事にしているのが、『一意専心』です。

この活動に全力を尽くすことで、私は自分自身の満足感だけでなく、地域社会への貢献も感じることができます。皆さんも、自分にできることを見つけ、一意専心で取り組んでみましょう。そうすれば、私たちのコミュニティをより良い場所にできると信じています。」

3:家族への時間を大切にする時のスピーチ例

「私がいつも言っている『一意専心』。この言葉がどれほど私の人生に影響を与えているか、話したいと思います。家族は私たちの人生において最も大切な宝物です。退職後、私は家族と過ごす時間をより一層大切にするようになりました。孫のサッカーの試合を見に行ったり、家族での週末の小旅行を楽しんだり。これらの瞬間に全てを注ぐことで、家族との絆を深め、かけがえのない思い出を作ることができました。

そんな時、私が心がけているのは、一意専心の精神です。これにより、私たちの関係はより深いものになりました。一意専心は、仕事だけでなく、家族と過ごす時間にも全力を尽くすことの大切さを教えてくれました。皆さんも、大切な人との時間を一意専心で過ごすことで、その価値を最大限に引き出してください。」

まとめ

「一意専心」という言葉は、ただの座右の銘ではありません。それは、これからの生活を豊かにするための哲学であり、新たな挑戦に対する心構えです。この言葉を胸に刻み、何事にも全力で取り組むことで、私たちは人生の新たな章を有意義なものにすることができます。だからこそ、「一意専心」を座右の銘に選ぶことには、深い意味があるのです。この精神を持って人生を歩み、毎日を充実させましょう。

●執筆/武田さゆり

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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