実家をなくして、3人とも別々に暮らすことに
両親の仲は修復することなく、優香さんが高校を卒業後に就職する直前で離婚に至った。優香さんは母親から自立したい思いから、社宅に入ることになっており、家族3人はバラバラで暮らすことになる。
「さすがに反対はしませんでしたよ。離婚は、両親で私に伝えてきました。もう相談ではなく、報告という感じでした。当時私は18歳で未成年だったので親権は母親になりましたが、養育費は社会人になるのでなしでした。
最初に父親が実家から出ていって、次に私。母親も私を見送ってから実家を出たので、実家というものはなくなりました。実家はすでに居心地がいい空間ではなかったので、出ることも寂しくはありませんでした」
現在、優香さんは父親とは連絡を取っていない。そして、母親とは3日に一度くらいのペースで連絡を取り合い、毎月一度は一緒に食事をしている。実家の居心地が悪くなった頃と比べて母親との関係はとても良くなったという。
「見捨てられ不安というものが一人暮らしをしたことによってなくなり、母親の顔色を伺うことがなくなったからですかね。母親とは離れて暮らしてから友達のような関係になりました。
今、母親は仕事に趣味に、充実した日々を過ごしているようで、毎日楽しそうなんです。そう思うと、最初に離婚したいと伝えられたときに賛成しておくべきだったなって。母親から何年も奪ってしまった気持ちです」
優香さんの母親同様、冒頭の調査では、「離婚後、同居する親にはどのような変化があったと思いますか?」と質問したところ、「性格が明るくなった(24.6%)」と回答した人が最も多かった。親の離婚は当人同士だけの話ではなく、子どもに与える影響は計り知れない。たとえ親が子どもの意見を尊重してくれたとしても、子どもに罪悪感を与えてしまうことを忘れてはならない。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。