無職の夫+義母との同居、でも離婚の意志はなかった
そこから無職となった夫の面倒を見に、義母は頻繁に家に来るようになっていく。また、義母に大切にされる夫はどんどんワガママになっていった。
「義母は栄養のある食べ物や、体にいい寝具など色んなものを夫に買い与えていきました。義母は若くして夫を産んでいてまだ働かれていたので、お金には余裕があるようでした。私たちの家のお金ではなかったので勝手にしてくれって感じだったんですけど、夫は病院通いを終えても仕事を始めようとせずに、自分のお金で色んなものを買うようになっていきました。今までの在宅勤務では動画編集に使うパソコンは会社から支給されていたのですが、それを一式購入したりして、散財を繰り返すようになったんです。
光熱費や消耗品などのお金は毎月決まった額を共通の口座に入れていたのですが、それがなくなって、夫が仕事をしていない間の家賃や光熱費はすべて私が払っていました。夫は元気そうに見えても療養中という名目なので、払ってほしいとは言えませんでした」
咲良さんは現在義母と夫との3人暮らしをしている。3人暮らしは義母から呼び出されて、3人で話し合いをしたことにより決定したという。
「義母から、『夫の分の生活費を払うので義実家で暮らさないか?』と提案を受けたんです。義母は都内にタワーマンションを持っていて、義弟も出て行ったことにより部屋は余っていたんです。そして、同居のこと、夫が無職なことを含めて、私と夫に向かって離婚の意志を確認してきました。そのときは私も夫も『ない』と答えたんです。その返事で同居が決定しました。
最初はどうなのかと思った同居ですが、思いのほか快適です。お金に余裕ができたので、私はシェアオフィスを借りてそこで仕事をするようになりましたし、夫の世話は義母がしてくれますから。義母と私はお互いにそこまで干渉し合わないので、感覚的にはルームシェアみたいな感じですね」
夫は現在在宅で少しずつフリーの仕事を受けているが、家にはお金をいれずにすべて自分の趣味のお金に消費している。もうどこかに勤めることは考えていないという。そんな状況を、咲良さんは「嫌になったら離婚すればいい」と諦めている。義母のお金や今の役割が、咲良さん夫婦の命綱となっているようだ。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。