義理の妹は、働かないだけではなく、不平不満を垂れ流す

夫は実里さんに渡していた生活費の20万円を、ここ2年間渡していない。実里さんが不平を言うと、「俺がローンを払った家にタダで住ませてやってるんだから、ありがたく思え」と言ったのだという。

「私がどれだけ内助の功をしたか、全くわかっていない。夫の会社の資金繰りが大変だったころ、私の持参金の300万円を投入して、なんとか事業が持続できたこと。子供が産まれても、仕事に集中できたことなど、すべて私の手柄です。それなのに、私たちに経済DVを加える。この頃から、自宅の宝飾品、ブランド品などを、私名義で借りたトランクルームに運び出しました」

生活費自体は、実里さん1人分だから、月5万円もかからないという。義母・義理の妹の家の光熱費は月6万円だが、実里さんの家は2万円だという。いずれも夫が支払っている。

夫婦関係が悪くなってから、夫は家の居心地が悪いらしく、1か月前から別のマンションを拠点にしているのだという。家にはほとんど帰ってこなくなった。

実里さんは、それまで「夫と使おう」と思ってへそくりでためていた貯金、NISAでの積み立て投資などの金額を確認。まとまった額になっていたので、離婚も考えるようになったという。

「母親だけだったらいいんですけれど、義理の妹がひどいんです。50代なのに働かず、母親とゴミだらけの家に住んで、罵り合いをしている。1日中テレビを見て、ネットゲームをして、“推し活”とか言って、地方に遠征しているんです」

実里さんの顔を見れば、「あんたがこの前持ってきた煮物、まずいね」とか、ケーキを持って行くと「地元のはダメだね。デパートの生クリームのモノがいいな」などと言った。

「少し前まで、うちで処理できない、残飯処理をしてもらおうと持って行ったんです。なにせ2人はよく食べるんですよ。それで文句を言うんです。娘に対しても“女は子供を産んでこそ一人前だ”などと言う。2人とも我が子を置いて、好き勝手やっているのに!」

義理の妹にも息子がいるが、離婚のときに元夫の家に置いてきたという。義理の妹はかつて夜の仕事をしていたが、コロナで店をたたみ、母親の家に転がり込んできたのだとか。

「突然、ウチに遊びに来ては“いい家に住んでるね。うちと交換しようよ”と言う。ビールを要求し、冷えていないと文句を言う。酔いが回ると、“あんたは一重でパッとしない顔立ちだね。だから娘たちもブスで結婚できないんだよ”とか、“あいつ(夫)帰ってこないの? あんたも旦那に捨てられたんだね”などと、私が傷つくことを言うんです」

居留守を使うと、しつこくチャイムを鳴らす。近所迷惑になることもあり、仕方なくドアを開けるのだという。

「あの義母と、義理の妹のせいで、私たち夫婦は離婚するでしょう。ホントに耐えられない。まさか、人生の最後に、こんな思いをするとは思いませんでした」

今まで順調だっただけに、その衝撃は大きい。いちじき、円形脱毛症やうつ病にも苦しんでいたという。お金が際限なく消えていくと思うと、心に負荷がかかり不安から病になることもある。

いままで、多くの家族を取材したが、「夫婦・親子」という家庭関係の外から「毒」がもたらされ、家庭の中に毒が蔓延してしまい、ばらばらになってしまう例は初めてだった。

かつてのように、きょうだいと親戚が多い人間関係とは異なり、頼れる人に一極集中という傾向は今後も続くのではないだろうか。

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)などに寄稿している。

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