講師の男性と不倫からの真剣な恋愛
高校の3年間はバラ色だったという。
「大学生と偽っていたので、コンパに行ったり、そこで知り合った人に頼まれて、イベントコンパニオンとして働いたり。当時はけっこうバブルだったから、凄い人がいっぱいいたわけよ。私が高校の時に付き合っていたヤンエグ(ヤング エグゼクティブ)君は、モルジブにダイビングに連れて行ってくれたしね。今じゃすっかり高くなったけれど、ブランドバッグも今ほど高くはなかったの。私、人気ブランド(女性に人気のフランスブランド)のバッグを何個もプレゼントされていたから」
当時「私は大学生」と堂々と言えたのは、自分たちは付属の大学にエスカレーターで進むと信じて疑わなかったから。
「希望すればどんな子でも100%行けると言われていたのに、私と弓子だけは成績不振と素行不良で、大学に行けなかったの。でも校長先生が“あなたたちのおばあちゃまは、わが校のお姉さま(先輩)でいらっしゃる”と助け船を出してくれて、短大に進学。そこで二人の絆は深まった」
しかし、短期大学は2年しかない。今までのようにずっと遊んでいるわけにもいかず、就職に向けて動くようになった。加えて、今まで湯水のように小遣いをくれた祖母が短大に進学するときに亡くなった。
智子さんの両親は、大学進学ができなかった娘に対して、監視の目を光らせるようになる。お小遣いも“人並み”しかくれなくなった。
「あのときはそれでよかった。夜遊びやレジャーはさんざんやってたから。でも若いじゃない。だから、恋がしたいわけ。でも周りは女ばっかりだし、大学生の男は幼い……そこで、ある講師に目をつけた。当時40代前半で、既婚者で、複数の大学を掛け持ちしていた。“この人ならいいかも”と男女の関係になったんです」
18歳の短大生と、40代前半の講師は1年以上、スリリングな関係を楽しむ。お互いに体目当てだったが、そのうち本気で心惹かれるように。
「最初は、校内や屋外でデートをするくらいだったのに、お互いに好きになると、ホテルに行くようになるわけ。向こうも“妻と別れる”と言っていたし、私も悲劇のヒロイン風になって、“結婚できなかったら死のう”とか言っちゃって。向こうの奥さんもキャリア女性で子供もいたから、全部わかって野放しにしていたんだと思う」
しかし、あるとき、講師と連絡が取れなくなる。
「弓子が私たちにやきもちを焼いて、先生と関係を持つようになったんです。先生は誘惑に負けたみたい。弓子は誇らしげにしていました。私はそれから父が亡くなり、就職活動に本腰を入れた。弓子と先生はその後も付き合っていたみたいですけどね」
【コロナ禍の「リモート飲み会」で再会した“姉妹”…その2に続きます】
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)、『沼にはまる人々』(ポプラ社)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)などにも寄稿している。