シスターフッド(女性同士の連帯)を描いた映画やマンガがヒットし、女性同士の友情が注目されている。しかし、現実は、うまくは行かない。これは女性の友情の詳細をライター・沢木文が取材し、紹介する連載だ。

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このところ、女の友情をテーマにしたドラマが目立つ。韓国ドラマ『39歳』(Netflixで配信中)、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)がヒットし、2023年4月30日から『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系)が放送中だ。予告編では清野菜名さん演じる主人公が「愛なんか奇跡じゃない。友情こそが奇跡だ」と言い切っていた。

それを受け、淳子さん(仮名・60歳)は「人間関係は奇跡そのもの。私もそうだったんですが、この年の女の友情には、夫や生活水準などの問題が付きまとうのかもしれません」と語る。“豊かな老後のために”と絵美さん(60歳)と友達になったが、亀裂が生じてしまったという。

“W浅野”ブームで、女の友情に憧れがあった

淳子さんはコロナ禍に夫に先立たれた。24歳で結婚し、33年間の結婚生活だった。

「3年前のコロナの厳戒態勢の頃で、ろくにお葬式もあげられませんでした。遺体は見られたのですが、触ることもできません。主人は10歳年上で“俺のほうが先に死ぬ”とはよく語っていたものの、まさか70歳にならないうちに亡くなるとは思わなかったんです」

死因はがんだった。あっという間に進行し、手が付けられなくなっていたのだという。

「診てもらった方がいいと言い続けたのに、放置していたので当然の報いです。夫婦関係はお世辞にもいいとは言えなかったと思います。主人は自分勝手な人で、“俺だけが正義”と言う人。なんでも勝手に決めて、私の反応などお構いなしでした」

結婚式、新婚旅行、旅先、家の購入など夫は勝手に決めてきて、淳子さんが反論すると「じゃあやめるか」「離婚するか」と言ってきた。

「世間体も悪いし、親も心配するので、離婚だけは避けたかった。それも見抜いていたと思います」

結婚のきっかけは、当時、モデルをしていた淳子さんに、夫が一目ぼれをしたのだという。

「私が出たファッション雑誌を見て、主人が編集部に電話。私が所属していた事務所に押しかけて来たのです」

会社経営をしていた夫は、バラの花束を抱え、白いポルシェに乗ってやってきた。

「私も若かったから、そんな主人についていき“永久就職”すればいい暮らしができると思ったんです。当時、両親が離婚したばかりで、母と妹と古いアパート暮らしでしたから、主人が輝いて見えたのです」

【結婚してから、男性が苦手だとわかった……次のページに続きます】

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