気が付けば独身、母と一心同体の人生

それから昇さんは母と二人三脚で人生を歩んでいきます。関東近郊の名門国立大学の法学部に合格し、在学中に司法書士試験も合格。

「弁護士になろうと思ったのですが、当時の司法試験はめちゃくちゃ難しかった。早く社会人になって稼げるようになって、母を楽にさせたかったから、司法書士の道を選びました。僕は経営者になるより、案件をたくさんこなして稼ぎたかった。社会人になってからは、母と毎年、海外旅行に行くことができていますし、30歳のときに都心に2LDKのマンションを買いました。今もそこに住んでいます」

母は仕事が好きで、家計が安定し、裕福になっても、65歳まで働き通しだったと言います。

「仕事を辞めてから、友達と旅行したり、観劇したりして楽しそうにしており、僕も親孝行ができたと安堵していたんです。僕たち親子はいわゆるマザコン親子ではなく、線を引いているというか、お互いをあまり干渉していません。同居人といったところです」

とはいえ、昇さんは家事を一切しておらず、結婚をする気もなかったと言います。誰よりも昇さんを理解する母との生活が心地よかったのでしょう。

「気が付けば独身でした。母も結婚しろとか孫の顔が見たいとかいうタイプではありません。苦労人だからドライなところがあります。当然、これまで母にも男の影はありませんでした。ワンナイトくらいはあったとは思いますが、常に僕を優先していたように思います。僕の父がDVで離婚も本当に大変だったらしいので、“結婚=苦労の種を産む”という感覚は強いと思います」

そんな母が、突然「結婚する」と言ってきたのです。昇さんは寝耳に水で驚いたと言います。

「なんで今さら、と思いましたよ。相手は母の元同僚の選挙応援で、4年前に知り合った男だとか」

母を慕っていた、40代の元同僚が区議会議員に出馬。党の公認は得たものの、とにかくお金がない。そこで、有志が集まって、街頭演説の応援や選挙事務所の運営、電話かけなどをしていたそうです。

「朝8時から夜8時まで、1日12時間、1週間一緒にいれば、お互いに気心が知れる。そこで食事をしたり、飲みに行ったりするようになったそうです。相手の男は母より10歳年下の60歳。親の介護と労働組合活動で婚期を逃したそうです。僕が言うのもなんですが、60歳で初婚の男に対して不信感しかない。母は一度言い出したら聞かず、チャラ男が好きなところもあります。相手がどんな奴か、徹底的に調べてください」

【母がおごるカフェ代、母へのプレゼントは100均、金目当てではないか……その2に続きます】

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/

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