義母からの裏切り。一転して離婚を後押し

夜中にいきなり訪問したときにも義母は温かく迎えてくれた。その頃には義父は亡くなっており、義母は義実家で1人暮らし。子どもの寝床をすぐに用意して寝かしつけてくれ、夏美さんには温かい飲み物を渡しながら優しく話を聞いてくれたという。

「その頃には、実の母親よりも義母のほうが深いことを相談できる相手になっていました。心の底から信用していたんです。夫は一人っ子で、義父も数年前に亡くなっていたこともあり、『あんなバカ息子を放って置いて、このまま3人で暮らしましょうか』とまで言ってくれていたから」

しかし、その数日後に義母の意見は180度変わり、息子である夫を迎え入れて、夏美さんを追い出そうとした。

「離婚を切り出されたと訴えた当初は『私からきつく言っておくから』とか言ってくれていたのに、夫と何を話したか知りませんが、『夏美さんは一度実家に戻るか、家で1人で離婚について考えてみてほしいの』だって。『家に戻るなら夫を実家に来させる』と言っていましたが、それって自分の息子も孫も義実家に置いて、私を追い出すということ。

さらには、夫からため息交じりに独り言っぽい感じで『母さんにしょうもないこと言うなよ』と言われ、私が義母に話した夫への愚痴が筒抜けになっていることも発覚しました。

最悪の裏切りですよね。それでも離婚だけはしたくなかったけれど、もう心は疲れ切って、離婚に傾きつつあります」

離婚についての話し合いはコロナ禍に入ったことで一時中断となり、多くの制限によりストレスを抱えた息子のサポートで夫婦協力することもあったという。しかし、それはあくまでも家族としてであり、「夫婦関係は結婚当初から破綻していたのかもしれない」と夏美さんは振り返る。

家に嫁ぐ、後継ぎ、というような事柄から発生する家族の問題は少なくなったが、嫁姑問題はまだまだ耳にする。最近増えてきていると感じるのは、まったく干渉し合わない関係や、夏美さんのように良好な関係からの裏切りパターン。どんなに仲良くなれたとしても、最終的に味方するのは実の息子のほう。大人になってからの家族に過度な期待は持たないほうが賢明なのかもしれない。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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