娘が結婚して、異変が起こる
結婚生活は穏やかに流れて行ったと言います。
「妻の実家が用意したマンションで新婚生活が始まり、私自身もスピード出世。同期にはずいぶん妬まれましたが、こればかりはどうにもなりません」
その後のキャリアについて、浩司さんは詳しく話していますが、肝心の妻については言葉が少ない。結婚後の妻について質問しました。
「一緒に暮らしていると、可愛いところもありますし、特に起伏もなく穏やかですよ。ただ、妻は若い頃に浮気を何度かしていたので、そこは管理しています。やはり奔放なお嬢様気質は、結婚しても治りません。妻は産休・育休を経て、別の会社に転職しました。そこは出張が多い会社なのですが、それを隠れ蓑にして浮気をしたんです」
妻が浮気をしても、浩司さんは離婚には至れない。なぜなら、妻は自身が勤務している会社の創業一族の係累者なのだから。
「それに異性問題で離婚するほど馬鹿じゃない。気の迷いみたいなものではないですか」
妻の写真を見せていただくと、若々しく美しい。キックボクシングで鍛えているからか、しなやかな筋肉とツヤツヤの髪が印象的です。浩司さんも美男子なので、この2人が並んでいたら、かなり目立つでしょう。
浩司さんは妻の浮気の予防策として、GPSで居場所を把握し、帰宅時間を報告させていました。また、出張のときはホテルの部屋の電話から連絡をさせるようにしているとのこと。
「ただ、妻は、1年前にGPS機能を削除したんです。きっかけは、一人娘が27歳で婚約者を家に連れてきたこと。相手の男はロックバンドをやっているとかで、どうも気に入らない。私が“娘を幸せにする覚悟があるのか”とか“将来の安定を考えているのか”などと質問すると、妻は“あなたはいつもそうよ”とキレたんです」
妻は基本的に浩司さんの言うことを聞いていた。
「自分が破天荒なことをわかっているから、まっとうな私の言うことを聞いていたんだと思います。結局、娘はそのミュージシャンと結婚し、うちには顔を出しません。妻はせっせと娘の家に行っているようですが」
あるとき浩司さんが妻に対して「何時に帰って来るんだ?」と言うと「そういう束縛、拘束してくるあなたの性格にはもううんざり。離婚したい」とはっきり言われてしまう。
「離婚という言葉が出てくると、別れが現実的になるんですね。あと5年間は役員としての仕事があるので、すぐに離婚とはいかないでしょう。その後は家庭内別居のような状態が続いているのですが、妻の外泊が頻繁になっている。別れる女は惜しいというか、今離婚して、これからずっとひとりの人生はあまりにもさみしい。調査をしてもらい、妻の説得材料にしたいのです」
【妻が宿泊していたのは、かつて愛した男の家なのか……その2に続きます】
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/