関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、熟年夫婦、そして我が子や孫を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

「犬も食わない(ほど、ありふれている)」夫婦げんかも、行きすぎると暴力に発展する。コロナ禍の2019年から2020年にかけて、「家庭内暴力」が急増した。内閣府男女共同参画のDV相談件数の推移を見ると、2020年度の相談件数は、18万2188件であり、2019年度の11万9276件の約1.5倍だ。

それを裏付けるように、夫婦間の殺人は多い。子殺しや親殺しはセンセーショナルに報道されることが多く、記憶に残ってしまうが、実は「配偶者殺し」は多い。

『犯罪白書』(法務省)をひもとくと、1997年から20年間終始一貫して全親族殺人事件に対する「配偶者殺し」の構成比は最も多いのだ。

今回の依頼者は、瑞希さん(48歳)だ。夫(63歳)と結婚して4年になる。夫の徹底的な受け身の姿勢と、人とは異なる言葉のセンスにイライラがつのり、暴力を振るってしまう。夫が離婚を考えていることを察知し、慰謝料を得ることを目的に、探偵・山村佳子氏に調査を依頼した。

【それまでの経緯は前編で】

ほとんど無表情、感情が読み取れない

瑞希さんに夫の行動を聞くと、朝8時に家を出て、23時ごろに帰って来るといいます。

夫は曽祖父の代から、特殊な資材と部品を取り扱う輸入代理店を経営しています。夫には前の妻との間に、3人の男の子がおり、そのうちの一人が後継者として育っているそう。

ちなみに、前の妻とは見合い結婚だったそうで、性格の不一致を理由に妻が家を出て行った。当時、10歳を筆頭にした3人の子供たちは、お手伝いさんと夫の母が育てたそうです。いずれも国内の有名な国立大学を卒業しており、全員が高収入ですが、だれも結婚していないとか。

朝7時から自宅のマンション前で張り込みをスタート。23区郊外の有名な住宅街ですが、実際に住んでいる住民が少ないことを知っていたので、通常の探偵カーで張り込み。ここ10年ほど、住宅街に空き家が増えて、張り込みがしやすくなりました。

夫が8時に出てきます。身長は170㎝程度でジャケットにパンツスタイル。顔が青白く何を考えているかわからない雰囲気が漂っています。

迎えのハイヤーに乗り、都心のオフィスに出勤するのかと思っていたら、別の場所に向かいます。30分ほどかけて到着したのは、都心のマンションでした。家賃の相場は20万円ほどで、1LDKが多い。人目に触れず、外から中が伺いにくく、出入り口が3つあるという、愛人宅としてうってつけの物件です。

慣れた様子で自ら鍵を開けて、中に入っていき、昼頃に大柄でふっくらした外国人女性と出てきました。

再びハイヤーに乗り、都心のホテルへ。奥まった4人掛けのテーブルに案内され、昼からシャンパンで乾杯。集音マイクをセットして会話を聞くと、2人は日本語交じりの英語で話していますが、夫は全くの無表情で、感情が読み取れないのです。クスリともせず、黙々と相手の話を聞いている。

ときどき、女性が「ねえ? 私の話を聞いている?」というように、夫に話しかけますが、夫はうなずくだけ。食事が終わると、夫から女性の手を取り、手のひらをくすぐるようなしぐさをして、女性はやっと笑顔になっていました。

50代後半から70代くらいの男性にとって、女性の手を取って、手を軽くくすぐるのは、欲望のサインです。この2人には性的な関係があると拝察しました。

【「あなたは感情を搾取している」……次のページに続きます】

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