孫はかわいくない、わが子が可愛いから面倒を見る
息子夫婦の結婚生活は4年間しか続かなかった。洋子さんは相手の女性を紹介されたとき「交際はいいけれど、結婚は反対」と息子に告げた。
「なんというか……夫と同じニオイがしたんですよね。なんでも人のせいにして、人を支配するような性格を感じました。不健康そうで、体も変にむくんでいて、夜の街のニオイがしたんです。息子に出会った場所を聞くと、最初はぼかしている。正直に言いなさいと言ったら白状して、ガールズバーだというんですよ」
結婚は授かり婚だった。
「30歳の息子と、25歳の嫁。嫁のお腹の中には子供がいると言う。ホントに息子の子なのかどうかもわからない。“堕胎しなさい”と喉元まで出かけましたが、もしかしたら孫かもしれない。夫が亡くなってホッとした後に、こんな厄介事が持ち込まれるとは思わなかった」
しかし、予想を裏切り、結婚生活は順調に続いていった。
「息子は東証2部上場の会社に勤務しており、生活は安定している。嫁も夜の仕事を辞め、妊娠中に美容師資格取得の勉強を再開。無事に合格した。無事に娘も生まれて、その子が2歳の頃から嫁は働き始めた。ウチから電車で20分程度のところに住んでいるのだけれど、私は一切孫の面倒は見たくなかったので、よほどのことがない限り“安易に頼まないで”と言っていた」
孫はかわいいという人は多い。しかし、洋子さんは違う。
「ホントは誰の男の子供だかわからない孫なんて、特別かわいくはありませんよ。私がかわいいのは、自分が産んで育てた息子と娘だけ。親になったわが子を見て、成長したとしみじみ思いますが、それだけ」
余談だが、洋子さんには現在、38歳の娘がいる。一流大学を出て、総合商社に勤務し、独身でバリバリ働いているという。
「私の理想通りの娘で、ビジネスの最前線で頑張っている。そんな娘のためなら何でもしたいと思います。孫が来るまでは、月に1回、都心のホテルで鮨を食べたり、スパを受けたりする女子会をしていたのだけれど、これがとても楽しかったんですよ。でも今は3歳の孫がいるので、夜の外出が一切できない。これがつらい」
【夫の遺産を使い、息子の借金を清算。息子は娘の世話を母親に丸投げしていった~その2~に続きます】
Writer&Editor 沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。