取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

厚生労働省が発表した「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)」では、2020年度の婚姻件数は 52万5490組、離婚件数は19万3251組。婚姻件数、離婚件数ともに前年よりも減少しているものの、今もどこかで夫婦が誕生して、夫婦が他人になっている。日本の非婚化がメディアなどで多く取り上げられているが、今回は離婚を経験後に再び家族を求める人たちに、その理由を伺っていく。

「昔から結婚は今の家を離れられる唯一の手段だと思っていました。相手のことを好きというよりも、相手がどのくらい私を大切にしてくれそうかというところばかり見ていました」と語るのは、紗枝さん(仮名・41歳)。紗枝さんが最初に結婚したのは25歳のとき。相手は仕事中に出会った営業マンだった。

父の死去で働かなくなった母親。そんな家を救ってくれたのは姉の夫だった

紗枝さんは大阪府出身で、両親と6歳上に姉のいる4人家族。紗枝さんの中にある父親の思い出はなし。父親というよりも、たまに帰ってくるおじさんという感じだったと振り返る。

「両親は離婚もしていないし、父親が家にいるときはそれなりに仲が良さそうだったんですが、父は平気で家を数か月も空けることがあるような人でした。学校から帰って、父がいるときにはびっくりした記憶が残っています。

父はここでは伏せたいような仕事をしていたみたいで、稼いでいないのか、家にお金を入れていないだけなのか母親もフルタイムで働いているものの、家計はいつもギリギリでした。それなのに、たまにご機嫌なときは私の家は姉妹なのに流行っているゲームとかを買って来て、恩着せがましい感じで渡してきていた。そのときのお酒のニオイは今思い出してもむかむかしてしまいます」

そんな父親はアルコール性の肝障害を患い、紗枝さんが高校生のときに亡くなる。それ以降から母親の様子が少しおかしくなったという。

「母親は父がいなくなって寂しかったのか、それとも父がいたときには押さえつけられていたものが解き放たれたのかはわかりませんが、アルコールを今まで以上に好み、パチンコに通うようになりました。フルタイム勤めも辞めて、家はもっと貧乏になりました。

家を助けてくれたのは義兄。姉が結婚したひと回り上の男性です。義兄はお金持ちで優しくて、私の憧れの人でした。姉も本当に幸せそうで、私もそんな姉を見て、早く結婚で幸せになりたいと思うようになりました」

【元夫は社用車を浮気相手に会うために使い、離婚&クビに。次ページに続きます】

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