働くことの楽しさに気づき、自立している自分も好きだった

暮らしていけないほど困窮しているわけではなかったが、大学に通いながらアルバイトを2つ掛け持ちして、自ら授業料の半分ほどを負担するように。その行いは瞬く間に美談として親戚間に伝わったという。その称賛は、香苗さんにとっても蜜の味だった。

「他人から認められることがとても嬉しかったんですよね。どうせ苦労するならそれを味わわないと損じゃん! とさえ思いました。

それに、アルバイトをがむしゃらにすることで働くことが楽しいことにも気づいたんです。私は人より仕事の要領がいいらしく、年上受けも良かった。同期の子たちよりも時給が上がるのが早くて、それもたまらない優越感でした」

大学を卒業後は印刷物や学習教材を扱う企業に就職。若い頃は恋も友人も仕事もすべて手に入れようと睡眠時間もギリギリの毎日を過ごしていた。

「若さ、ですよね。夜中まで仕事をしてそこから始発まで飲んだり、彼氏の家に押しかけたり。振り返ると楽しかった思い出ばかりですけど、そんな毎日でもなんか満たされなくて、本当にがむしゃらだったと思います」

2つ目の職場で今の夫と出会い、初めて1年を超える付き合いに。出会った職場は編集プロダクションで、お互い仕事が生活のメイン。会うのも月に1~2回だったことが結婚まで進んだ理由だという。

「会う時間が少ないと、揉めたくなくなるんですよね。多少ムカつくことがあっても飲み込んでしまう。相手もそうだと思います。だから関係が続いて、お互い自立していたから、どちらの邪魔にもならないしメリットもあって結婚に至りました」

自立しているはずの彼は結婚してすぐに働かなくなってしまう。その理由とは。
~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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