子どもの言葉が荒くなった、口をきいてくれなくなった、暴力をふるわれたなど、大人への移行期である思春期の子どもの心は不安定で、突然の変化に戸惑う親は多いと言われています。そこで、福岡県北九州市の「土井ホーム」で心に傷を抱えた子どもたちと暮らしながら、社会へと自立させてきた、日本でただひとりの「治療的里親」である土井髙徳さんの著書『思春期の子に、本当に手を焼いたときの処方箋33』から、どんな子どもにも効く思春期の子育てのコツを学びましょう。

文/土井髙徳

子どもが話しかけてきたときは、できるだけ口をはさまずに聴く「傾聴タイム」に

ご家庭でこんな会話をしていませんか。

母「早く宿題をしなさい」
子「え~、疲れた」
母「終わったらおやつにするから早くやりなさい」
子「疲れた~!(泣き叫ぶ) のどが渇いたよ」
母「(強い調子で)早くしなさいと言ってるでしょ」

イライラが募ってついあなたも声が大きくなってきました。結末はお決まりの口論。バタンッ。お子さんは自分の部屋に消えてしまいました。

ふたりのやり取りをよく見てみましょう。子どもは親の話を聞いていませんが、実は親のほうも子どもの言い分を聞いていません。こうした応答を繰り返していると、子どもは「親は自分の言うことを聞いてくれない」「大人は子どもの感じ方、考え方を頭から信用していない」ということを学習します。その積み重ねが続くと、子どもは親の話をまともに聞かなくなります。

逆に、自分の言葉や気持ちや感じ方を受け入れてもらえたという体験は、親との会話を楽しくさせます。親から言葉や気持ちを返してもらうと、それが自分の言葉や気持ちを受け取り、理解する機会となります。子どもの訴えに対して「つらかったんだ」「悔しかったのね」と親が適切な反応をすると、子どもは混とんとした感情のひとつひとつにラベルをつけ、心の整理が進みます。その結果、自己をモニターする力が身についていきます。このように、自分の言葉や気持ちや考えを理解する機会が増えると、自分の気持ちや考えを通じて問題を解決する姿勢にもつながります。

子どもの話を「聴く」時間をつくりましょう。できれば子どもが話しかけてきたときは、できるだけ口をはさまずに聴く「傾聴タイム」にしましょう。

初級

1.体と顔を子どもに向け、子どもの顔を見る。
2.相槌をうちながら子どもの言葉に静かに耳を傾ける。
3.相手が言い終わるのを待つ。

中級

1.子どもが言ったことを、言葉で返す。
(例)「そうか。○○(子どもの名前)は、~したんだ」
2.傾聴タイムのときは、子どもに指示やアドバイスをしない。

上級

1.子どもの気持ちに名前をつけてやる。
(例)「それは、がっかりしたね」「恥ずかしかっただろうね」
子どもからの話しかけがあったときに、上のパターンで返してみましょう。小さくても良い変化が出てきたら、それを繰り返しましょう。

【一口メモ】
思春期初期の子どもの場合、感情に言葉のラベルを貼る作業が困難な場合もあります。そこで言葉を紡ぎだす手伝いが必要となります。言葉のシャワーをかけてやる。子どもの問いかけに丁寧に応答する。こうした場面を繰り返していくと、やがて自分の気持ちを上手に表現できるようになり、一段高い段階に成長します。

* * *

『思春期の子に、本当に手を焼いたときの処方箋33』(土井髙德 著)
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土井髙德(どい・たかのり)
1954年、福岡県北九州市生まれ。里親。「土井ホーム」代表。保護司。学術博士。福岡県青少年育成課講師。北九州市立大学大学院非常勤講師。心に傷を抱えた子どもを養育する「土井ホーム」を運営。医師や臨床心理士など専門家と連携し、国内では唯一の「治療的里親」として処遇困難な子どものケアに取り組んでいる。2008年11月、ソロプチミスト日本財団から社会ボランティア賞を受賞。

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