今や様々なメディアで目にするようになった「クラウド」は、社会のデジタル化推進の鍵といえるでしょう。クラウドはどのような点がすぐれていて、どのような弱点を抱えているのでしょうか。本記事ではクラウドのメリット・デメリットについて詳しくご説明したいと思います。

目次
そもそもクラウドとは
クラウドのメリット・デメリットを比較
オンプレミスとは
最後に

そもそもクラウドとは

クラウドとは「インターネットを経由して、表計算などのサービスを必要な時に必要な分だけ提供する」システムのことです。パソコンにソフトウェアをインストールしなくても、インターネットに接続できる環境さえあればサービスを利用できます。「クラウド(cloud)」という単語は「雲」のこと。雲の向こう側のサービス(インターネット)を利用していることから、クラウド=雲と呼ばれるようになったという説があります。

クラウドのメリット・デメリットを比較

ではクラウドを使うことでどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。クラウド初心者の方にもわかるように説明していきたいと思います。

メリット

メリットは、主に次の3点が挙げられます。

▷初期費用が安い

初期費用の安さは、物理的なサーバーなどを必要としないクラウドならでは。自前でサーバーなどの機材を準備するとなると、初期費用はある程度大きくなります。一方、クラウドなら業者が用意するITインフラを用いるため、費用負担は基本的に定額料金のみです。

▷拡張性が高い

拡張性が高いのも大きなメリットと言えるでしょう。例えば、クラウドのストレージを利用していて容量がなくなってきたら、有料プランに移行するだけで容量を簡単に増やせます。IaaSならば、サーバー台数やスペックをインターネット上の操作だけで簡単に変更できます。自前で機材を準備するのに比較して、ハードウェアの増設やセットアップが不要なので手間が省けます。

▷データ共有が簡単

クラウドはインターネットさえあれば利用できるので、多様な端末にも対応しています。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからもアクセス可能。外出先から資料をアップロードしたり、遠隔地の作業者とデータを共有したりすることも簡単にできます。

サービスによっては共同編集も可能です。「Google Docs」や「Google Sheets」がその一例。複数人が同時に一つのドキュメントを編集できます。端末の環境や物理的な距離を気にすることなく、データ共有ができるのは非常に大きなメリットと言えます。

デメリット

デメリットは、以下のようなものが考えられるでしょう。

▷改造に限界がある

クラウドでは商品化されたシステムを利用するため、自由に改造できる範囲は限られます。改造可能な範囲が自分の要求を満たさない場合は、自前のサーバーを運用しつつ、一部にクラウドを導入する「ハイブリッドクラウド」を試してみるのもよいかもしれません。

▷オンライン環境が必要

クラウドそのものがインターネット経由での利用を前提としているので、当然オフラインでは利用できません。回線速度が遅い場合や接続が不安定になっている状況では、十分に使用できない可能性があります。クラウドは盤石なネット環境があってこそ成り立ちます。

▷運用を提供元に依存する

運用の手間やコストを削減できる分、クラウドの運営会社にさまざまな面で依存することになります。仕様変更で利便性が低下したり、定額料金が上がったりしても従わざるを得ません。特にクラウドの提供元がアメリカなど海外にある場合、使用料の支払いはドル建て払いのケースもあります。そのため円安が進むと、ドルでの支払い金額は同じでも実質的な料金は上がるというデメリットも生じます。

さらに注意したいのは、サービス終了のリスクです。突如サービスが打ち切りになる可能性は低いものの、バックアップを取っておく、代替となるクラウドサービスに目星を付けておくといった対策をしておくほうがよいでしょう。

オンプレミスとは

「オンプレミス」とは「on the premises(構内で)」という言葉が語源です。自社でサーバーやネットワークなどのITインフラを用意し、自社で運用する形態を指します。かつては自社内にサーバーを設置・運営するという形式が主流だったので「オンプレミス」という言葉は一般的ではありませんでした。しかし、クラウドの普及に伴い、その対義語として使われるようになりました。

改造の自由度が高いのがメリットですが、反面メンテナンスや運用形態の変更に伴う設備調整などをすべて自前で行わなければなりません。

最後に

これまでクラウドのメリット・デメリットについて見てきました。クラウドはインターネットさえあればすぐにサービスを利用できるという点が大きな強みと言えます。パソコンにソフトウェアをインストールする必要もなく、遠くの人と簡単にデータが共有できます。サーバーもいりません。

その一方で、クラウド提供元に大いに依存するという弱みもあります。例えば、システム開発の現場では、開発に必要な多くのクラウドサービスはアメリカをはじめとする海外のサービスに依存しています。そのため円安が進行すると多くの場合、料金が上がってしまいます。開発現場に限らず、「Googleドライブ」や「Googleマップ」など、一般ユーザーが慣れ親しんでいるクラウドには海外のサービスが数多くあります。今後これらのサービスの使用にあたり、ドルでの支払いが求められる可能性も否定できません。クラウドのデメリットを最小化するためにも、国産クラウドの充実化が望まれます。

●構成・執筆/吉河 光祐(よしかわ こうすけ|京都メディアライン・https://kyotomedialine.com/ FB

都内のIT企業にて、クーポン販売サービスや美容医療チケット販売サービスのウェブとアプリ二つの開発保守に従事している。

 

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