気軽に誰でも使えるSNSは身近な存在となりましたが、それに比例してSNSでのトラブルも増えてきています。「自分はほとんど使わないから大丈夫!」と、SNSが及ぼす影響を知らぬまま利用していると、トラブルに巻き込まれる危険性も。
今回は自己防衛のためにも知っておいてもらいたい、これまでに起きたSNSのトラブルやその防止策についてご紹介します。
目次
そもそもSNSとは?
実際にあったSNSのトラブル
SNSでのトラブルを避ける方法は?
最後に
そもそもSNSとは?
SNSとは、インターネット上のWEBサイトなどで会員登録し、利用者同士がコミュニケーションできる会員制サービスのこと。ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、頭文字だけをつなげた言葉です。
日本国内で主要なSNSとしては、LINE(ライン)、 YouTube(ユーチューブ)、 Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)、Facebook(フェイスブック)、TikTok(ティックトック)などが挙げられます。
実際にあったSNSのトラブル
ここでは、実際にあった具体的なSNSのトラブルについてご紹介します。
不適切な投稿によるネット炎上
SNS上における炎上とは、不適切な表現や過度の発言を含む投稿をSNSで発信し、不特定多数のユーザーから非難や誹謗中傷が殺到すること。炎上は芸能人のような有名人だけでなく、一般人など、誰にでも起こりえます。
過去の炎上事例
- 従業員に土下座を強要し、その姿を撮影しTwitterに投稿
- 無許可で線路に立ち入り、動画をTwitterに投稿
- 男性店員が、店の休憩室でまかないカレーに自身の体毛を入れる動画をInstagramのストーリーズに投稿
SNSで人気を集めたい、自分の優位性を見せつけたい、24時間で消える投稿だから大丈夫……、そういった軽い気持ちで投稿してしまうと、炎上だけでなく事件として訴えられることもあります。
土下座を強要したら強要罪に該当する可能性があり、線路立ち入りは鉄道営業法違反にあたります。もし電車を止めてしまったら鉄道会社から多額の損害賠償請求を受ける可能性も……。バイトの悪ふざけ行為でお店に迷惑をかけてしまった場合は、解雇だけに留まらず威力業務妨害罪として逮捕されるケースもあります。
大きなトラブルにならなくても、世間話から政治問題や歴史問題の議論に発展し、白熱したやりとりによって、面識のない人からも罵声を浴びせられるというケースもあります。せっかく楽しくやりとりしていたはずが、炎上したら「もうSNSはやりたくない!」という気持ちになることもあるでしょう。持論を表明するのは悪くないですが、相手を傷つけてしまわないように投稿する内容には注意をしましょう。
写真から思わぬ個人情報流出
気軽に写真を投稿すると、そこから個人情報が流出してトラブルに発展する場合があります。写真には、どこで撮影したかわかる位置情報(ジオタグ)が埋め込まれている場合があり、写真の背景からも位置を特定される場合があるのです。また、スマートフォンのカメラ品質向上によって「写真のそんな小さな部分だけで個人情報が抜き取れるの?」と驚くことも多くなりました。
個人情報流出の具体例
- 家の近所で撮影した写真を投稿し、住所を特定される
- 自宅前で旅行に行く写真を投稿し、空き巣に狙われる
- ピースサインから指紋を盗まれ、金融端末やドアロックなどの指紋認証を突破され悪用される
- SNS画像の瞳に映った景色や、生配信の動画などから最寄り駅や部屋を特定され、性犯罪の被害に
写真を投稿するときは、位置情報の有無など十分注意しましょう。
他者への誹謗中傷による慰謝料請求
誹謗中傷とは、根拠がない悪口や文句で相手を傷つけること。SNSの匿名性を利用し、特定の個人アカウントに対して一方的に誹謗中傷のメッセージ等を発信すると、名誉毀損罪や侮辱罪などに問われたり、高額の慰謝料を請求されたりすることがあります。自らそのような投稿をしなくても、リツイートなどの再投稿で拡散した場合も同じです。
誹謗中傷の具体例
- テレビやネットでの言動が気に入らず、SNS上で「いつ死ぬの」など誹謗中傷をし、それを見た不特定多数の人も再投稿、被害を受けた芸能人は自ら命を経つ
- あおり運転殴打事件に関連し、無関係の人が加害者の車に同乗していた女性と間違われてデマを流され、実名やSNSアカウントを特定される
- 「不倫しているらしい」と嘘の情報をSNSに書き込まれる
- 「この人に痴漢されました」と嘘の情報を顔写真とともにSNS投稿される
誹謗中傷は、リツイートなどの再投稿者でも「広めるのに加担した」とみなされます。また、匿名であったとしても特定されます。カッとなっても勢いですぐに投稿せず、一度時間をおいて投稿を見直す習慣をつけましょう。
SNSアカウントの乗っ取り
SNSアカウントを乗っ取られると、そのアカウントを使って電話帳の情報を悪用されたり、自分になりすまされて誹謗中傷のメッセージを送りつけたり、さらにはフィッシングサイトや架空請求などの不正な詐欺サイトの発信に利用されたりといった、大きな被害にあうケースがあります。
SNSアカウントが乗っ取られた事例
- ある有名なゆるキャラの公式Twitterアカウントが乗っ取られ、一時は「旧アカウント」「新アカウント」「偽アカウント」の3アカウントが乱立、当時20,000人以上いたフォロワーが大混乱に陥った
- スマートフォンを落としてゲームアカウントを乗っ取られ、不正アクセスでデータを移し替えられた
- 女子中学生のSNSアカウントを男性が乗っ取り、被害者のフォロワーに「母親が下着製作の仕事をしている。手伝って欲しい」などのメッセージを送って、下着に着替える際の映像を送信させ、画像データを保存していた
SNSでのトラブルを避ける方法は?
情報の公開範囲に気をつける
SNSではプロフィールや投稿など、入力している内容の公開範囲を常に意識することが大事です。
Twitter、Facebook、Instagramでは、投稿の公開範囲を制限しましょう。SNSアカウントを持っていなくても閲覧できる「公開」、自分が承認したアカウントのみ閲覧制限できる「友達」「非公開ツイート」など、投稿時に設定できます。ただし、Twitterに関しては、「非公開」でつぶやいた内容でもスクリーンショットやコピー&ペーストで再投稿されるケースがあるので、基本は「公開」と思って利用したほうが無難です。
LINEでは「友だち自動追加」をオフにすることも検討しましょう。LINEはスマートフォンに登録された連絡先の中からLINEを使っている人に対して、勝手に友だち追加をする機能があります。便利な半面、プライベートではつながりを避けたい相手に対しても友だち追加が行われてしまうのです。オフにすることで、自動追加されなくなります。
投稿前に入力内容に問題ないかしっかり確認する
インターネットに情報を公開すると、完全に消えることはありません。投稿を削除しても、情報は既にスクリーンショットされて保存されていたり、多くの人に再投稿(リツイート等)されていたりするので、完全削除は不可能になります。
あとで後悔することのないよう、投稿前に一度冷静になって投稿内容を確認してください。本人にとっては軽はずみな言動も、敏感に反応して傷ついたりマイナスに捉えたりしてしまう人もいるため、不適切な内容になっていないか、個人情報が特定されるものが含まれていないか、客観的に確認することが大切です。
怪しい投稿やアカウントに反応しない
大幅な値引きなどを謳ったSNS上の広告や、簡単に儲かるなどの投稿やメッセージが届くこともありますが、鵜呑みにすると危険です。詐欺かもしれません。安易に飛びつかないようにしましょう。
また行政機関や有名な企業を語るSNSアカウントからメッセージを受け取り、添付されたファイルやサイトに誘導され、遷移すると、ウイルスに感染してしまうことも……。SNS上の相手が本当に信頼出来る相手なのか、慎重に判断することが重要です。
最後に
今回は実際にあったSNSのトラブルから、それを避ける方法をご紹介しました。事前に防ぐことが一番ですが、トラブルに見舞われた場合は「インターネット人権相談受付窓口」や「消費生活センターによる相談窓口」など、公共のトラブル相談窓口がありますので、一人で悩みを抱え込まず被害が大きくなる前に周囲へ相談しましょう。
●執筆/西村結花(にしむら・ゆか)
UIデザイナー歴17年、CMSテンプレート開発・管理画面の設計等を手掛ける。近年ではデザイナー視点でのLPOやSEOライティングを評価され、BtoB企業のグロースハックチームの一員として活躍する。
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●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com