メンタル不調で父親の外面が剥がれるも、母親は面倒を見続けると言った
その後、美緒さんは無事女の子を出産。まだまだ夫婦関係が修復中の時に、父親はメンタル面の不調で仕事を辞めることになったと伝えられます。
「私たち夫婦の問題は母親には言えなかったんですが、姉には伝えていて相談に乗ってもらっていました。そして、子どもが生まれた後に、父親が仕事を辞めたことを姉から教えてもらいました。父親は外でも怒りを我慢できずに癇癪を起すようになっていたみたいで、外面をうまくできていた父親からしたらそんな自分がゆるせなかったのか、不眠や食欲不振などの症状が出ていたそうで。一度は休職となったようなのですが、同じ職場に戻りたくなかったみたいでそのまま退職することに。私は父親の状態よりも、父親が四六時中家にいる環境なのが不安で仕方なかったです。姉はまだ未婚で実家で暮らしていたので、母親だけでなく姉のことも心配になりました」
しばらくして父親は隣人トラブルまで起こすように。母親に改めて離婚してほしいと訴えたそうですが、母親は首を縦には振ってくれなかったとか。
「『こんな状態で一人にはできない。ここまで一緒にいたんだから最後まで面倒を見るつもりだ』と母親は言いました。私も姉も理解できませんでしたが、幸いにも手を出してくることはなかったので、子どもが親に離婚を無理強いすることもできなくて……。姉もそのまま同居を続けるというので、私もできる限り様子を見に行くことにしました」
現在もペースを乱されることを父親は極端に嫌い、思い通りに行かない時には孫相手にも癇癪を起こすそう。それでも別れない理由として母親になった今だからこそ、少しだけわかったことがあると言います。
「私が娘を育てていくことに対してお金の不安を感じずにいられること、そして自分の実家を気遣う余裕をもらえているのは夫がいるから。私の娘に対しても父親はかわいがってくれることはないんですが、義両親がとてもかわいがってくれています。それも本当にありがたくて、おじいちゃんという存在がみんな怖いものだという認識は娘に植え付けずに済みますから。もしかしたら、母親もどれが子どもにとって最悪の状態になるのか考えた末の結果だったのかなって。お父さんなんてちっとも思っていないけど、お金を作ってきてくれたせめてものお礼として、母親が決めたなら今さら捨てることはしないつもりです」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。