「IPアドレス」と聞いても、詳しくは知らないという人がほとんどだと思います。インターネットでは、膨大な規則がルール化されデータ通信しています。IPアドレスは、インターネットの住所に相当する基本中の基本となるルールです。それでは、IPアドレスは、どのような役割を担っているのでしょうか? この記事では、インターネットを支えるIPアドレスについて解説いたします。
目次
IPアドレスとは?
IPアドレスの確認方法
IPアドレスから個人情報は洩れる?
まとめ
IPアドレスとは?
IPとはInternet Protocolの略称のこと。IPアドレスとは名前の通り、Internetで通信するための住所番号のことです。
IPアドレスの意味
インターネットに接続して通信するには、IPアドレスが必要です。1988年商用インターネットが始まり、世界的な組織でアドレスを電話会社やコンピュータメーカーに分割支給されました。IPアドレスを管理している組織はIANAを頂点として、日本はIANA-APNIC-JPNIC経由で電話会社やプロバイダ事業社に分配され管理されています。
番号は IPv4では000.000.000.000〜255.255.255.255の範囲です。この4組で表すIPアドレスはIPv4と呼ばれます。 XXX.XXX.XXX.XXXと表記するのは間違いです。1〜254までしか使えません。0と255は別途特別な用途に使います。
IPアドレスはプロバイダ事業社から提供される
プロバイダ事業社はJPNICもしくはJPINIC指定事業者から使うIPアドレスを譲渡されるかレンタルされて、さらにそのIPアドレスをエンドユーザーの私たちに提供しています。
私たちは、プロバイダ事業社へ接続してIPアドレスを分割されてインターネットを使います。プロバイダ事業社も上位通信キャリアなどから分割され又貸しとして、IPアドレスを利用者に提供している場合もあります。
指定されずに余っているIPv4のIPアドレスはありません。現在、所有権利は売買対象です。IPv6と呼ばれるIPアドレスもありますが、こちらは別の機会に説明します。プロバイダ事業社が所有を許可されたアドレス範囲は通常狭い(少ない)ので、エンドユーザへはインターネットに接続するときだけ、IPアドレスを振り出します。
サーバーを自社で構築して、インターネットに接続する場合は、固定IPアドレスをプロバイダ事業社に別途、利用料金を支払い提供してもらいます。皆さんがよく使う、ヤフーサイトは固定IPアドレスを持っていて、183.79.250.251、Googleは173.194.220.101です。
指定を受けずに使用可能なIPアドレスは決められていて、192.168.001.001〜192.168.254.254までが個人での使用を推奨されています。NATルータが振り出すIPアドレスです。
NATルータ
IPアドレスを変換する機器をNAT(Network Address Translation)、IPアドレスを変換してデータを通過させるのでルータ、あわせてNATルータと呼びます。
プロバイダ事業社に接続すると1台のパソコンやスマホしか接続出来ません。インターネット側(WAN側)は、プロバイダ事業社が振りだした一つのIPアドレスになります。
接続台数を複数台にしたり、Wi-Fiで接続したりする機械がNATルータになります。NATルータのユーザー側IPアドレスは、初期設定値で末尾が001に設定されています。NEC系なら192.168.10.1、バッファロー系なら192.168.20.1です。
NATルータに接続するパソコンやスマホは、192.168.10.2・・、192.168.10.3・・、192.168.10.4などになりますが、プロバイダ事業社から提供された1つのIPアドレス15X.14X.23X.12X(Xは0〜9)などを共有してインターネットへ接続します。
たくさんのパソコンやスマホを接続しても、ちゃんとインターネットに接続してくれるNATルータは賢いですね。
IPが変わるタイミングは?
NATルータは、接続してきたパソコンやスマホに、通常は192.168.10.2などから順番に192.168.10.3 、192.168.10.4 のようにIPアドレスを振り出します。Wi-Fiなどで再接続するとIPアドレスは変わります。イーサネットケーブルで接続していてもパソコンを再起動するとIPアドレスは変わります。
パソコン、スマホのIPアドレスが変わっても、WAN側(回線側)のIPアドレスは変わらず、プロバイダ事業社から振りだされたIPアドレスのままです。NATルータやONUを、電源ON-OFFしての再起動(=停電)や、プロバイダ事業社がメンテナンスを行うと、WAN側は違うIPアドレスになります。
ONUはモデムで信号を変換するだけなので、IPアドレスを持ちません。
IPアドレスの確認方法
NATルータやプロバイダ事業社ルータが正常に稼働しているなら、IPアドレスが何番になっていても、通信出来るので、普通にインターネットを使うだけならIPアドレスを知る必要はありません。
通信が正常に出来ない場合に、接続が怪しいと思ったら時に、IPアドレスが取得出来ているかを確認してみます。IPアドレスが確認出来ないということは、NATルータ接続に不具合が発生しています。
Windowsでの確認
タスクトレイ→ネットワークとインターネットの設定→プロパティをクリックすると、IPアドレスを確認出来ます。
MacOSでの確認
Dock→システム環境設定→ネットワークをクリックすると、IPアドレスが確認出来ます。
スマホ(iOS)での確認
設定→Wi-Fi→接続しているルータのインフォーメンションアイコンをクリックすると、IPアドレスが確認出来ます。
IPアドレスから個人情報は漏れる?
通信内容を取得、漏洩するのは「電気通信事業法」で禁止されているので、ハッキングなどにより攻撃されない限り、IPアドレスから個人情報が洩れることはありません。
日本におけるインターネット事業社運用者スキルは高く、財布を落としても戻ってくる日本社会同様に、プロバイダ事業社から個人情報が洩れる心配はありません。
オレオレ詐欺が無くならないように、闇世界の方々は隙あらば個人情報を狙って詐欺行為をします。偽サイトに誘導して、IDやパスワードを取得し悪用したりするのです。
パスワードなしで使えるフリーWi-Fiがありますが、こちらは通信が暗号化されず平文になり、コピーされて個人情報を簡単に盗まれることがあります。そのようなWi-Fiアクセスポイントは使わないようにしてください。
通信記録と接続情報
インターネットに接続するためにはIPアドレスが必要です。プロバイダ事業社から自動でNATルータに振りだしてもらったり、契約して固定IPアドレスを取得したりしないとインターネットに接続出来ません。
この時の「接続情報」はトラブル発生時の原因調査のために、プロバイダ事業社にて記録されています。通信内容は記録されていません。インターネットを使った殺人予告などは犯罪なので、接続情報から犯人を捜すときにIPアドレスが使われたりします。
公共のインターネット接続Wi-Fiであっても、無料であっても登録やメールアドレスを登録しないと使えないのは、犯罪抑止なのです。インターネットであっても、容易に悪事は出来ない時代です。
まとめ
違法サイト訴訟などで、犯人特定でIPアドレスが出てきます。プロバイダ事業社など通信事業者は裁判所の令状がないと、IPアドレス接続情報を通信事業法により公開出来ません。違法行為として礼状を手続きすれば公開します。
インターネットは、膨大な人々で運用され安定的に使われています。違法行為には警察と通信事業者は協力して対抗します。その時、犯人特定にIPアドレスが証拠となるのです。
杉田正
インターネットハンドルはsugipooh。
アマチュア無線、TK-80BS、PC-8001、APPLEII、MacintoshPlusからのアップル信者。大型ストレージ、RAIDやNAS開発からWebサーバー開発、データセンターにおけるセキュリティ規格ISO27001(ISMS)を日本で最初に取得。現在はクラウド用省エネデータセンター研究開発や省エネデータセンター構築コンサルタントを行っている。
構成・編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/)