関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。
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ハウスキーパーの仕事に行く前に、下着をはき替える
今回の依頼者は安治さん(仮名・69歳)です。4年前に機械関連会社を定年退職し、現在は友人が経営する温泉施設のメンテナンスの仕事をしています。
「私がやっているのは、ボイラーや電気設備の点検などです。今、週3で仕事をしているのですが、“もっと来てほしい”と言われているのでうれしいです。コロナウイルスは不安ではありますが、お客様が施設に来ていただいて、ホッとされている姿を見ると、この仕事をしてよかったと思います」
安治さんは、幼い頃から機械が大好きで、工学部系の大学在学中にオートバイやコピー機の整備のアルバイトをしていたそうです。
「いわゆる、“オクテ”というやつで、女性はからっきしダメなんですよ。40歳の時に心配した親戚から5歳年下の妻を紹介されて、そのまま結婚しました。子供も2人授かって、2人とも独立しています。上の娘には、来年子供も生まれるんですよ。ずっと穏やかに暮らしてきたのに、こうして探偵さんのところに来ていることが、情けないんです」
20~40代半ばの方までは、私たちの調査サービスをカジュアルに利用くださるのですが、40代後半の依頼者さんだと、抵抗感が強い方が多いと感じます。やはり、結婚したら浮気をしないものだという共通認識があるのでしょう。
「実際に今も信じられないのですが、妻は浮気をしています。妻もずっと仕事をしており、60歳で定年を迎えました。その後、1年くらいぶらぶらしていたのですが、家事サービスのヘルパーさんとして再就職したんです。妻も週3勤務くらいから始めていたのですが、ここ半年くらいは、週6~7勤務、休みなく働いているのです。しかも、仕事に行く前に、キレイな下着に着替えていく。休みなく働くようになってからは、ずいぶん若返りました」
妻は64歳……十分若々しく、希望があれば恋愛もできる。
「まさか妻にオトコがいるとは思わないので、“あまり仕事を入れすぎると、体に毒だよ”ということを言ったら、“あなたに迷惑はかけないわよ”と突き放すように言われたんです。これまでも、浮気をしているようなことはありましたが、ここまでのことはなかったんです」
【バツイチの妻は、40代で2回、50代で4回ほど浮気疑惑があった。次ページに続きます】