母の夫であり、私の父ではない。しかし相手の娘はその考えではなくて……
紹介を受けた後に、ひかるさんは一人暮らしをスタートさせると、母親は実家で同棲を始めます。少し近所の目が気になったものの、そこにも口出しはせず。その後はひかるさんの結婚、出産、姉の離婚、そして父親の死去と立て続けに大きな出来事に見舞われます。やっと落ち着いた頃に、母親が再婚すると伝えてきたと言います。
「一番嬉しかったことは子どもができたこと、そして一番悲しかったことは父が死んでしまったことです。父はガンでした。勤めていた仕事を引退してやっとゆっくりしようとしていた直後でしたね。本当に発覚からなくなるまで1年にも満たずにあっという間でした……。最後に孫を抱いてもらえてよかったなって思っています。
その他にも、姉の離婚で子どもの親権を巡ったいざこざに巻き込まれたりと常にバタバタいましたね。そして、やっと落ち着いたぐらいのときに、母が再婚すると言い出しました。2人が同棲して5年ぐらい経っていたのでもう再婚はないと思っていたんですが……」
母親の思いを聞いて、ひかるさんは再婚には反対しなかったものの、新しい家族、親族が増えたからこその新たな問題が発覚します。
「母親は、姉は戻ってきたが(苦笑)私に新しい家族ができ、そして父が亡くなって、いざ自分の老後を考えたときに再婚して相手とちゃんとした家族になりたいと思ったそうです。私は結婚しても家族ですが、やっぱり結婚して自分に子どもが生まれると、母親と連絡を取る機会がグッと減っていたので何も言えませんでした。うちには後々揉めるような財産もないし、相手の家に大きな借金もないなら、いいかなって。
でも、もっと考えればよかったと今なら思います。母の夫には子どもがいると言いましたが、その娘が事あるごとに母に子どもを預けてきたり、私の実家に入り浸るという事態になってしまったのです……」
30歳を超えている連れ子の娘に対しても母親にならないといけないのか、母親の疲れている姿を見る度に考えさせられるとひかるさんは後悔を口にします。
「私にとって、母の今の旦那さんはあくまでも母の夫であって、私の父という認識はありません。実際に戸籍でも関係ありませんし。相手の娘もそうなはずなのに、こんなに頼ってくるものなのでしょうか。図々しいにも程があります。母親はその娘に遠慮してすでに言いなり状態。なんとなく結婚を後悔しているようにも見えます。私は揉めたくないんですが、どこまで口を出せばいいのかわかりません。だって他人だから。私よりも先に姉がキレちゃいそうで、それも怖くて……」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。